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【美術解説】クロヴィス・トルイユ「ロウブロウアートの先駆者」

クロヴィス・トルイユ / Clovis Trouille

ロウブロウアートの先駆者


クロヴィス・トレイユ「記念館」(1931年)
クロヴィス・トレイユ「記念館」(1931年)

概要


カミーユ・クロヴィス・トレイユ(1889年10月24日-1975年9月24日)は絵画修復家、ファッションマネキンのデザイナー。日曜芸術家だが1905年から1910年までエコール・デ・ボザールで絵画を学んでいる。

 

クロヴィス・トルイユは1889年、アミアン近くのラ・フェールという町で生まれた。土俗的な猥雑さや、俗悪な原色の氾濫。スキャンダラスでエロティックな主題。しかし、表面的な明るさやけばけばしさの裏側には、諷刺の毒や嘲笑の毒がみなぎっている。実際に、20世紀前半に広告ポスターで使われた平版印刷のポスターを反映しているという。

 

ルイ・アラゴンとサルバドール・ダリに発見されたあと、アンドレ・ブルトンの招きによってシュルレアリスム展に参加。トルイユ自身は、べつにシュルレアリストであったことは一度もなく、一種の日曜画家、素人画家であった。アンリ・ルソーの系譜につながるが、その風刺精神やユーモア性は、のちのロウブロウアートにつながるといってよいだろう。日本では澁澤龍彦が「フランスの横尾忠則」と評している。

 

第一次世界大戦はトレヴィルにとって生涯軍隊を憎む出来事となり、彼の最初の有名絵画「記念館」(1931年)で表現されている。この絵は白いウサギを握っている兵士、少数のメダルを投げている女性曲芸士、そしてシーン全体を枢機卿によって祝福されている様子を描いている。

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