【美術解説】画商 デビッド・ツヴィルナー「アメリカで最も影響力のある画商」

デビッド・ツヴィルナー / David Zwiner

アメリカで最も影響力のある画商


概要


生年月日 1964年10月23日
国籍 ドイツ
職業 画商

デビッド・ツヴィルナー(1964年10月23日生まれ)はドイツ人画商でニューヨークやロンドンにあるデビッド・ツヴィルナー・ギャラリーのオーナー。取扱作家はドナルド・ジャッド、トーマス・ルフ、草間彌生、河原温など、大規模なミニマル作品を制作する作家が多い。

 

2012年以来、ツヴィルナーは『ArtReview』が毎年企画している現代美術で最も影響力のある人物を分析してランキング化した「Power 100」の常連番付者となっている。

 

ツヴィルナーは4位(2010年)、5位(2012年)、2位(2013年)、2位(2014年)、3位(2015年)、4位(2016年)、5位(2017年)、そして2018年には1位にランク付けされた。

 

2012年にツヴィルナーは『フォーブス』誌の「アメリカで最も力のある画商」企画でナンバー2に選出された(1位はラリー・ガゴシアン)。

 

また、ドイツの写真出版社Steidlやニューヨークの大手書店Rizzoli、アートブック出版社RADIUS BOOKS、Apertureなど、書籍関連の企業と積極的にコラボレーションをしており、展覧会カタログ、美術研究論文、アーティストブックの制作においても評価を高めた。

略歴


ツヴィルナーは西ドイツ時代のケルンで画商の父ルドルフ・ツヴィルナーと母ウルスラのあいだに生まれた。家族は自宅の一階がギャラリーになっている家に住んでいたため、ルドルフは物心ついたときから芸術に触れていた。

 

画商のハロルド・ダイアモンドの提案で、ルドルはデビッドと彼の姉妹を1年間ニューヨークのウェルデン・スクールに留学することになった。

 

高校卒業後、ドイツからアメリカへ映り、ニューヨーク大学に入学する。大学では音楽を学び、ジャズ・ドラマーとして演奏もしていた。

 

大学卒業後、ドイツへ戻りA&Rとしてハンブルグでポリグラム・レコードレーベルに所属して働いていた。しかし、すぐに音楽の仕事から視覚芸術の仕事へ移ることになった。

 

ツィヴィルナーは芸術コレクションをはじめ、 写真家のベルント&ヒラ・ベッヒャーや画家のハンネ・ダルポーフェン、現代美術家のダン・グラハムの作品を集めはじめた。

 

アメリカでの最初の仕事は、ブルック・アレキサンダー・ギャラリーの画商ブルック・アレキサンダーとの業務だった。

 

1993年、ツィヴィルナーは現代美術家の国際的交流を目的として、ニューヨークのソーホー地区にデビッド・ツヴィルナー・ギャラリーを設立。

 

また、2000年から2009年の間、ツィヴィルナーは個人間売買を中心としたニューヨークのアッパー・イースト・サイドにあるギャラリー、ツヴィルナー&ワースでイワン・ワースのパートナーとしても業務を行っていた。

 

そのときに「ゲルハルト・リヒター:初期ペインティング(2000年)」「ブルース・ナウマン展(2001年)」「サイ・トゥオンブリー:辞表(2002年/2003年)」「クレス・オルデンバーグ:初期作品(2005年)」「デイビット・ハモンズ(2006年)」「ヨーゼフ・ボイス:彫刻とドローイング(2007年)」「ダン・フレイヴィン:1964年グリーン・ギャラリー展(2008年)」などの展覧会シリーズの協働企画、開催をした。

 

ツヴィルナーの新しいギャラリーは、2020年にニューヨークのチェルシーのウェスト21番通りにオープンする予定で、それはレンゾ・ピアノがデザインした5階建てのギャラリーになるという。

パーソナル・ライフ


ツヴィルナーはモニカ・シーマンと結婚。彼女はニューヨークにあるハンドバッグ&アクセサリー会社MZ Wallaceのデザイナー兼創設者である。2人には3人の子どもがおり、家族はニューヨークに住んでいる。

慈善事業


ツヴィルナーは数多くの慈善事業を企画していることで知られている。

 

2001年、ツヴィルナーは世界貿易センター攻撃事件の犠牲者を追悼するため、デビッド・ツヴィルナー・ギャラリーで「I Love NY Art Benefit」展を開催。9月11日の攻撃の数日後、ツヴィルナーはアーティストに作品を寄贈を依頼する。その後、便益のある展覧会を組織するためほかのニューヨークの画商に支援を呼びかけた。

 

このツヴィルナーの独創的な企画は150を超えるギャラリーとオルタナティブ・スペースを集め、ニューヨーク全体に利益をもたらした。デビッド・ツヴィルナー・ギャラリーでの展覧会と同様、ほかのギャラリーが上げた利益のすべては、ロビン・フッド財団の一部であるロビン・フッド・リリーフに寄付された。

 

2006年10月、2008年5月、2015年7月に、ギャラリー・アーティストのマルセル・ザマはニューヨークのギャラリーで3つのチャリティーアートオークションと展覧会を開催し、それらの利益はライティングスキルのある若い学生を支援することを目的とした非営利団体826NYCに寄付された。

 

2011年3月、ツヴィルナーはと仲間の画商とクリストファー・ダメリオは、グレース・チャーチ・スクールの第25回年次奨学金オークションへのアート寄付を企画した。

 

2014年4月、ツヴィルナーはニューヨークの自身のギャラリーで毎年恒例nHIV/AIDSの研究と教育プログラムのためのアクリア・アンフレームド・オークションを開催している。このイベントで記録的最高額の100万ドルの募金が集まった。

 

2015年2月、デビッド・ツヴィルナーはニューヨークで最も古い男女共学の学校であるフレンズ・セミナリーのために毎年オークションを開催。展覧会では60以上の作品が展示され、その多くはギャラリー契約のアーティストから寄贈されたもので、今日まで50万ドル以上の募金が集まった。