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【作品解説】ロイ・リキテンスタイン「ヘアリボンの少女」

ヘアリボンの少女 / Girl with Hair Ribbon

リキテンスタインが漫画だけを題材にしていた時期の代表作


ロイ・リキテンスタイン『ヘアリボンの少女』,1965年
ロイ・リキテンスタイン『ヘアリボンの少女』,1965年

概要


作者 ロイ・リキテンスタイン
制作年 1965年 
サイズ 121.9cm×121.9cm
所蔵 東京都現代美術館

『ヘア・リボンの少女』は、1965年にロイ・リキテンスタインが制作した油彩作品。121.9cm×121.9cm。東京都現代美術館が所蔵している。

 

リキテンスタインは、1963年から65年にかけて本作品のように少女の顔をクローズアップした一連の作品を制作している。『ヘアリボンの少女』はその時期の作品の1つである。

 

リキテンスタインが選ぶ漫画の女性たちはヒロインであり、当時の一般大衆に期待されていた女性を演じ、虚構のロマンスの中で涙を流したり驚いたりしている。

 

本来の漫画の文脈から切り離されているにもかかわらず、この1コマのイメージには、古典絵画のような物語性が残っている。少女の顔からうかがえる憧れや切なさ、あるいは恐怖を感じさせる表情が、鑑賞を惹き付ける。

 

しかし、本作品は鑑賞者の心を惹き付けそうなマンガの一コマを単純に拡大化して古典様式で描いているわけではない。リキテンスタインの意図は、熟考された緻密な構成と三原色のみを用いて、いかに明快で質の高い画面を作り上げるかという点にあった。

 

女性の頭と顔に焦点が当てられ、荒々しく太いラインワークがより強調されている。また、近くで見るとカラーコミックの印刷方法である色付きのドットが規則的なパターンで併置されていることがわかる。その結果、感情的ものが意図的に取り払われ、純粋芸術としても受け取ることができる。

 

本作は長く作者自身が愛蔵していたものだが、1994年に東京都現代美術館が開館にあわせて600万ドルで購入した。


■参考文献

https://museumcollection.tokyo/works/57560/、2021年8月7日アクセス

https://www.aaronartprints.org/lichtenstein-girlwithhairribbon.php、2021年8月7日アクセス