【作品解説】アルフォンス・ミュシャ「夢想」

夢想 / Reverie

膝に本を載せ、遠くを見る女性の眼差し


概要


『夢想』は1897年にアルフォンス・ミュシャによって制作されたリトグラフ作品。この作品も『黄道十二宮』と並んでミュシャ作品のなかで人気が高いものの1つで、何度も再販され、ヴァージョン数も数多く作られている。

 

円形の装飾模様を背景に描いた女性像は、ミュシャ作品の特徴といえる。円は精巧に花で飾られ、茎がレース状にパターン化されて描かれている。

 

『黄道十二宮』と同じく、もともとは印刷業者シャンプノワの依頼により作られたポスターだったため、女性が膝に置いているのは印刷物の見本帳のようである。

 

当初はタイトルがなかったが、雑誌『ラ・プリュム』によって人気が付き、一般に売り出される際に装飾パネル形式にされ、『夢想』というタイトルが付け売りだされたが、これはおそらく女性の遠くを見ているような眼差しから発想されたものだろう。