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【作品解説】アンリ・マティス「若い水夫Ⅱ」

若い水夫Ⅱ / The Young Sailor II

フォーヴィスムのスタイルで描かれた水夫


アンリ・マティス『若い水夫Ⅱ』(1906年)
アンリ・マティス『若い水夫Ⅱ』(1906年)

概要


作者 アンリ・マティス
制作年 1906年
サイズ 101.6cm×81.9cm
メディウム キャンバスに油彩
所蔵先 メトロポリタン美術館

『若い水夫Ⅱ』は、1906年にアンリ・マティスによって制作された油彩作品。フォーヴィスムで描かれた肖像画の代表的な作品の1つ。

 

この『若い水夫』の第2版では、マティスは第1版よりもシャープなエッジと明るくフラットな色彩で表現している。

 

ピンク、ブルー、クリーンの鮮やかな色彩で描かれた船乗りの表情は、遊び心にあふれたプリミティブなスタイルで、水夫の骨格は、歪んでおり、アングルと深い線の集合体で作られた仮面のようになっている。これは、マティスがアフリカ彫刻の影響を受けているためであろう。

 

仮面のような静謐な水夫の顔と、荒々しく熱狂的な衣服の筆運びとの間には大きなコントラストが見られる。眉毛、鼻、唇はすべて具体的で太い線で描かれているのに対し、ズボンとセーターは動きのあるワイルドな曲線とターンで構成されている。

 

仕事用のブーツを履いているのか、それともレジャー用のブーツを履いているのか、はっきりせず、装飾的な要素はできるだけ簡略化されている。手は素手なのか大きな手袋をしているのかわからず、左の手のひらに1つの深いV字形のシワが描かれているだけであり、これは意図的な抽象画である。

 

「若い船乗りⅡ」のモデルは18歳の漁師ジェルマン・オーギュスタン・バルテレミー・モンタルジェス(1888-1938)であることがわかっている。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Young_Sailor_II、2023年4月4日アクセス