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【美術解説】森万里子「自己変容するためのセルフポートレイト」

森万里子 / Mariko Mori

自己変容するためのセルフポートレイト


森万里子《Birth of a Star》 1995年
森万里子《Birth of a Star》 1995年

概要


生年月日 1967年2月21日
国籍 日本
職業 現代美術家
表現手段 写真、ビデオ、デジタルアート、インスタレーション
ムーブメント コンセプチュアル・アート、ポップ・アート、環境アート
代表作

・Birth of a Star,

・Nirvana,

・Dream Temple,

・Wave-UFO,

・Pure Land,

・Tom Na-hui

森万里子(1967年生まれ)は日本の現代美術家。村上隆、奈良美智と並んで世界的な評価を得て、成功している日本の現代美術家の1人。

 

彼女の作品は世界中の美術館や個人コレクターに所蔵されている。

 

森は長い間、都市と未来に関連したSF的なセルフポートレイトを特徴とした作品を制作している。 彼女の作品は、思春期のファンタジー、ナルシシズム、ポップカルチャー、宗教、ファッションなど、多くのテーマにも触れている。

 

また、日本生まれの森は、芸者や漫画、日本の伝統文化に影響を受けたキャラクター作品が多数登場する。 

 

キャリア全体を通じていえることの1つは、自己意識を超越し、変容する手段としてこうしたものに関心を抱いてたことである。

 

森は2003年にブレゲンツ(オーストリア)のクンストハウス・ブレゲンツで展示したインタラクティブなインスタレーション作品《Wave UFO》で国際的な評価を高めた。その後、このインスタレーション作品はジェノヴァの公共芸術基金とともにニューヨークで展示され、2005年のヴィネツィア・ビエンナーレでも展示された。

 

森の最新の大規模なインスタレーション作品《Ring:One with Nature》は、2016年8月3日にブラジルのリオデジャネイロで開催された、リオ2016年オリンピックおよびパラリンピック競技大会のセレブラ・カルチャー・プログラムの一環として公開された。

略歴


父は日本の経済学者の森敬、母は西洋美術史家の森洋子。父方の祖父は森ビル創業者の森泰吉郎である。

 

東京・文化服装学院在学中の1988年から森はファッションモデルとして活動を始める。1989年にロンドンに移り、1992年までバイアン・ショー・スクール・オブ・アートやチェルシー美術大学で学ぶ。

 

卒業後、ニューヨークへ移り、ホイットニー美術館のインディペンデント・スタディ・プログラムに参加。1993年からロンドン、ニューヨーク、東京間を行き来しながら作品を発表する。

初期作品


森の初期作品は、日本の伝統文化と古代史を参照にしているものの、アニメの登場人物やサイボーグなど未来的なテーマやキャラクターで表現する特徴である。彼女の初期写真はコスプレの影響を強く受けている。

 

この時代の作品は、日本のアニメや伝統的な女性の役割からサイボーグの幻想に疑問を投げかけているという

 

幻想的な神々、ロボット、未知の生命体、宇宙船といったキャラクターが、自作のキャラにコスプレした彼女自身とともにビデオ作品や写真作品の中に現れる。

 

1994年に森は《Play with Me》《Tea Ceremony》《Love Hotel》《Red Light》《Subway》といった写真シリーズを制作している。

 

《Play with Me》は、漫画やビデオゲームの世界から秋葉原の玩具店思えるらしき現実の世界へ飛び出したサイボーグ的なキャラを森自身が演じた作品である。彼女の髪は長いポニーテールで青色に染められており、硬いプラスチックのトップス、銀色のプラスチックグローブやドレスを着用している。森は店内で販売されている玩具と同じ格好をしているが、店内に入ろうとする客には無視されている。

森万里子《Play with Me》1994年
森万里子《Play with Me》1994年

《Subway》では、森はまるで宇宙から着陸したばかりの姿で東京の地下鉄に乗車している。銀色の金属製の衣装で身を包み、ヘッドセット、マイク、前腕に押しボタンが付いている。

 

《Play With Me》とともにこの自己変容は、さまざまな要素で組み立てられたアイデンティティを探求することを目的としていた。

森万里子《Subway》1995年
森万里子《Subway》1995年

1995年の《Empty Dream》では、森はいくつか青いプラスチック製の人魚の衣装に身を包みながら、実際の公共の水泳場で写真を撮影している。この作品ではとりわけ、バイオテクノロジーによる人間の創造に関する技術と哲学の発展を言及したものだという。

森万里子《Empty Dream》1995年,
森万里子《Empty Dream》1995年,

2002年の《Oneness》では、スピリチュアリティ、写真、ファッションというジャンルを横断しつつ、芸術家としての彼女の独創性を深く掘り下げている。また、最新のテクノロジーを使用している。

森万里子《Oneness》2002年
森万里子《Oneness》2002年

伝統的な日本文化


森万里子の作品は幻想的で未来的であり多大な資金を費やしたハイテクによって制作されているが、それとはまったく逆方向に茶道の女性、仏教色の強い天女、などの伝統的、または東洋的な女性像が演じられることがある。