【美術解説】パトリック・ドライ「サザビーズを個人で全株買収した実業家」

パトリック・ドライ / Patrick Drahi

サザビーズを個人で全株買収した実業家


概要


パトリック・ドライ(1963年生まれ)は、フランス、ポルトガル、イスラエルの3つの国籍を持つ実業家。1999年からスイスに在住。ドライはオランダのユーロネクスト・アムステルダム証券取引所に上場している電気通信事業者アルティスの創始者であり支配株主。

 

2019年6月にオークション会社のサザビーズは、パトリック・ドライに37億ドル(約4000億円)で同社を売却し、非上場化することで合意したと発表。サザビーズは上場企業としての31年の歴史に終止符を打った。

 

パトリック・ドライはモロッコのカサブランカのユダヤ人の家庭に生まれた。15歳のときに家族はフランスのモンペリエへ移る。両親は二人とも数学の教師。

 

ドライはパリにあるエコール・ポリテクニーク大学で工学の学位を取得し、大学院で光学とエレクトロニクス分野で学位を取得。その後、シリア・ギリシア正教の妻と結婚し、スイスのジュネーブで暮らしている。

 

2001年5月、ドライはアルティスをルクセンブルクで設立。2002年にパリ地域でケーブルテレビ・インターネットプロバイダ事業を行っていたEst Vidéocommunicationを買収する。

 

その後、Numericable、UPC Franceなどフランスのケーブルテレビ事業者を続々と買収し、オーナーとなる。

 

2013年にドライはi24newsの国際ニュースチャンネルを設立。このチャンネルはイスラエルを拠点としており、フランス語、アラビア語、英語で放送を配信している。

 

2013年にドライはメディアコングロマリットのヴィヴェンディからフランスで2番目に大きな移動愛通信業者でインターネットプロバイダ会社のSFRを買収。

 

2014年12月、ポルトガルテレコムを買収し傘下企業とすることを発表、翌年6月に完了。

 

2015年にアメリカで7番目に大きなケーブル会社サドンリンク・コミュニケーションズの株式70%を91億ドルで買収。続いてニューヨーク都市圏のケーブルビジョン・システムズ・コーポレーションの買収を2016年6月に完了。これらの米国のケーブル事業者はアルティスUSAとして再編され、2017年6月に上場。ドライは同社の発行株式の35%を保有している。