【美術解説】ロバート・デル・ナジャ「バンクシーに影響を与えたストリート・アーティスト」

ロバート・デル・ナジャ / Robert Del Naja

バンクシーに影響を与えたストリート・アーティスト


※1:ロバート・デル・ナジャの作品
※1:ロバート・デル・ナジャの作品

概要


 

生年月日 1965年1月21日
国籍 イギリス
表現形式 絵画、音楽
ムーブメント ストリート・アート、トリップ・ホップ
関連人物 バンクシー、マッシヴ・アタック
※2:ロバート・デル・ナジャ(3D)
※2:ロバート・デル・ナジャ(3D)

ロバート・デル・ナジャ(1965年1月21日)はイギリスとの美術家、ミュージシャン、歌手、作詞家。一般的には「3D」という名称で知られているバンクシーの正体の1人と噂されることもある(本人は否定している)。

 

ナジャはグラフィティ・アーティストとして現れはじめ、ブリストルにおけるDJやミュージシャンを中心とした緩やかな音楽集団「ワイルド・バンチ」のメンバーとして活躍する。

 

その後、1988年に結成されたバンド「マッシブ・アタック」の創設メンバーの1人となり、現在も継続して活動している。

 

2009年にナジャは、ブリティッシュ・ミュージックに多大な貢献を与えたとして、ブリティッシュ・アカデミーズ・アイヴァー・ノヴェロ賞を受賞した。

 

デル・ナジャはブリストル地区ビショップストンで生まれた。父はイタリアのナポリからの移民だという。そのためデル・ナジャはブリストルという地域同様にSSCナポリの熱烈なサポーターである。

バンクシー=デル・ナジャ説


2016年9月、ブロガーのクレイグ・ウィリアムズはロバート・デル・ナジャ(3D)は、実は匿名グラフィティ・アーティストのバンクシーであるではないかと主張した。バンクシーは実際にデル・ナジャが率いていたマッシヴ・アタックと関わりがあったためである。

 

さらに2017年6月、ドラムンベースのDJゴールディ・ゴールドはポッドキャストのインタビューで、バンクシーのことを「ロブ」(デル・ナジャのファーストネーム「ロバート」の略称)」と呼んだため、「デル・ナジャ=バンクシー」説をより拡大させることになった。

 

しかし、バンクシーの正体とみなされているロビン・ガニンガムもまた、ファーストネームの略称は「ロブ」のため、どちらを指したものかははっきりしていない。

 

デル・ナジャが手がけた美術作品は、数十年にわたる音楽活動「マッシヴ・アタック」のアルバムに収録されており、それはバンクシーの作品とよく似ている。マッシヴ・アタックのコンサート・ビジュアルもバンクシーの作品と非常によく似ている。

略歴


音楽


デル・ナジャはブリストル・トリップ・ホップバンド「マッシブ・アタック」の創設メンバーの1人である。

 

トリップ・ホップは、ヒップホップから影響を受け発展した音楽のジャンルの1つで、1991年にマッシヴ・アタックがリリースしたアルバム『ブルー・ラインズ』が、トリップ・ホップの最初のアルバムとみなされている。

 

また、デル・ナジャはマッシブ・アタックの活動に加え、デル・ナジャはアンクルのアルバム『ネヴァー・ネヴァー・ランド』や『ウォー・ストーリーズ』にもボーカルとして参加している。

 

2012年12月、デル・ナジャは、「音楽、美術、一度限りのライブイベントを通じた談話、展示、独占的なビニール・リリースの融合」をコンセプトに掲げた「Battle Box」というプロジェクトを開始。20日にそのプロジェクトのファーストシングルとなる12インチ・シングル『Battle Box 001』をThe Vinyl Factoryから限定発売。

2014年12月、デル・ナジャはゲームジャムのサイト「Ludum Dare」が12月に開催するイベントのために10曲の未発表曲を提供した。これらの楽曲はサイト運営社がゲームのサウンドトラック制作のために利用され、音楽素材として無料でダウンロードすることもできた。

 

2015年2月、デル・ナジャとトム・ヨークはド1時間半のキュメンタリー映画『The UK Gold』のサウンドトラックをリリース。楽曲は自由にダウンロードできた。

 

同年、フランスの音楽家のジャン・ミッシェル・ジャールのコラボレーションアルバム『Electronica 1: The Time Machine』に参加する。デル・ナジャは収録曲「Watching You」を担当している。

美術


デル・ナジャはミュージシャンになる以前はグラフィティ・アーティストだった。彼の作品はマッシブ・アタックのレコードジャケットで使われている。

 

バンクシーはデ・ナジャの美術から多大な影響を受けており、デル・ナジャはブリストルにおける最初のグラフィティ・アーティストとして認識されている。

 

さらに、デル・ナジャは、バンクシーの表現手法であるステンシル・グラフィティムーブメントの開拓者であり、1980年代初頭にアメリカからブリストルへヒップップホップやグラフィティ文化を持ち込んだ文化紹介者でもある。

 

デル・ナジャは2008年にロンドンのラザライズ・ギャラリーで開催された「War paint」というグループショーに参加し、2007年に発売したアンクルのアルバム『ウォー・ストーリーズ』に焦点を当てた絵で注目を集めた。

※3:デル・ナジャが描いたアンクル『ウォー・ストーリーズ』のカバーアート。
※3:デル・ナジャが描いたアンクル『ウォー・ストーリーズ』のカバーアート。
※4:2008年に開催されたロンドンのラザライズ・ギャラリーで開催された「War paint」でのデル・ナジャの作品。
※4:2008年に開催されたロンドンのラザライズ・ギャラリーで開催された「War paint」でのデル・ナジャの作品。

彼はまた2008年ロンドンのサウス・バンクで開催されたライブ「マッシヴ・アタックズ・メルトダウン・フェスティバル」で旗の展示を行った。このインスターレーション作品は「最恵国」と呼ばれた。

 

展示でイギリス連邦加盟国の代替旗が赤と黒のアナーキズムなものに変えられ、ロイヤル・フェスティバル・ホールのメインフロアの天井から吊り下げられて展示された。

※5:ロバート・デル・ナジャ「最恵国」
※5:ロバート・デル・ナジャ「最恵国」

デル・ナジャとニール・デイビッジは、2006年にロンドンのV&A美術館で巨大なスケールのインスターレオション作品《Volume》をユナイテッド・ヴィジュアル・アーティスト(UVA)とコラボレーション展示を行う。

 

フロアに音に合わせて動く48本のイルミネーション放音柱のインスターレション作品が設置された。鑑賞者はこのイルミネーションをくぐりぬけて、独自の光と音楽の体験できるようになっていた。

2010年のインタビューで、デル・ナジャは「私は色覚異常なのため絵画制作は苦手だ。ずっと前、色が分からなかったのでスプレー缶に色のラベルを付ける必要があった。裸の王様のようなもので、みんなは素晴らしいと感想を述べていたが、意図したものは見せかけだった」と話している。

 

デル・ナジャの初個展「Fire Sale」が2013年5月24日から6月22日にかけて、ロンドン中心にあるラザライズ・ギャラリーで開催された。このショーでは過去20年間のマッシヴ・アタックのために制作した多くの絵画やドローイング作品に焦点が置かれたものとなり、展覧会を通じてデル・ナジャの世界観を再解釈するきっかけとなった。

※6:デル・ナジャ個展「Fire Sale」
※6:デル・ナジャ個展「Fire Sale」

■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Del_Naja 2018年12月18日アクセス

https://www.lazinc.com/exhibitions/650/ 2018年12月18日アクセス

 

■画像引用

※1:https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Del_Naja 2018年12月18日アクセス

※2:https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Del_Naja 2018年12月18日アクセス

※3:https://en.wikipedia.org/wiki/War_Stories_(album) 2018年12月18日アクセス

※4:https://www.lazinc.com/exhibitions/650/ 2018年12月18日アクセス

※5:https://www.pinterest.jp/madotie/del-naja-art-work/?lp=true 2018年12月18日アクセス

※6:https://artformusic.wordpress.com/2013/05/30/massive-attack-robert-3d-del-naja/ 2018年12月18日アクセス