【美術解説】ヘタウマ「下手くそだけど個性的な芸術」

ヘタウマ / HETAUMA

下手くそだが個性的な絵


概要


ヘタウマとは、技巧の稚拙さがかえって個性や味となっている芸術。美術業界ではなく、漫画家、イラストレーター、グラフィックデザイナーらが中心に活躍する広告業界から広まった言葉である。代表的なヘタウマ作家としては、湯村輝彦、蛭子能収根本敬、みうらじゅんなどおもにガロ系作家である。

 

明確な言葉の起源はわかっていないが、イラストレーターの山藤章二によれば、1970年前後に銀座かどこかの百貨店で開催されいていたイラストレーション展に出席した際、知り合いのベテランイラストレーターと会話したときに聞いたのが初めてだったという。

 

山藤:「いやぁ、面白いですねぇ。どういう一派なんですか。グループ名はあるんですか?」

 

ベテラン:「そういうのはないでしょう。私たちは勝手に〈ヘタウマ派〉とよんでいますがね。自然発生的に生まれたんですよ

 

山藤:「ヘタウマ?」

 

ベテラン:「本当は描けばみんなウマいんだけど、わざとヘタに見えるようにしてる。言葉の順でいえばウマヘタなんだけど、それじゃ説明的でインパクトがないので逆にしてヘタウマ。うまくすると新しいムーブメントになるかも知れないけど、一過性の現象で終わるかも知れない」(『ヘタウマ文化論』山藤章二より)

 

なお、この展覧会で展示されていた作者は、川村要助、湯村輝彦、安西水丸、渡辺和博だったという。また、ヘタウマ運動にはコピーライターの糸井重里が強く関わっている。

 

 

2014年にはフランスで、タコシェとLe Dernier Criによるヘタウマに関する2つの展覧会『HETA-UMA』『MANGARO』が開催され、湯村輝彦をはじめ、今日までの作家約50人+フランス内外の作家を加えて100人規模の作家が紹介された。

 

「HETA-UMA」「MANGARO」公式サイト 

HETA-UMA


『HETA−UMA』は、へたうま以降の日本のアンダーグラウンドな作家や作品を紹介する展示会で、2014年10月18日〜2015年3月1日まで、南フランスのmiam Musée International des Arts Modestesで開催された。

 

●参加作家

スージー甘金、Marthes Bathory 、Antoine Benhart、Mark Beyer、Pakito Bolino、Andy Bolus、Laetitia Brochier、Marc Brunier Mestas、沖冲、Craoman、Dave 2000、Mathieu Desjardins、Mike Diana、Victor Dunkel、蛭子能収、Fredox、福士千裕、Pyoshifumux Fumix、後藤友香、Carmen Gomez、Mischa Good、Dave Guedin、Céline Guichard -Matti Hagelberg、Emu Et Arizono Hamadaraka、花くまゆうさく、塙将良、早川モトヒロ、 Ichasu、市場大介、Laurent Impudeglia – Kanado Inuki、伊東篤宏、伊藤桂司、石川次郎、Judex & Cedric Cailliau、Jurictus、瘡原亘 、駕籠真太郎、河村康輔、Olaf Ladousse- Mathias Lehmann、Leo • Ludovic Levasseur、Pascal Leyder、Liquide、Vida Loco、Maki、Keenan Marshal Keller、丸尾末広、Jérome Minard、本秀康、Tomi Musturi、ねこじるY、根本敬、Nirotaka、二艘木洋行、抜水摩耶、Nuvish、小田島等、オカダシゲヒロ、太田螢一、Picopico Progeas – Remi – Riton La Mort、Arnaud Rochard、逆柱いみり、 Samrictus、Vincent Sardon、セキンタニ・ラ・ノリヒロ、しりあがり寿、Stumead、 Caroline Sury、田名網敬一、俵谷哲典、Gwen Tomawak、友沢ミミヨ、都築響一、Tagami 、マディ上原、Nadia Valentine、湯村輝彦、Zven 

MANGARO


『MANGARO』は漫画雑誌『ガロ』とそれに関連した展示会で、2014年10月17日〜2015年2月2日まで、南フランスのFRICHE belle de maiで開催された。