【美術解説】ビオモーフィズム「自然界で見られる規則的な模様を取り込んだ作品」

ビオモーフィズム / Biomorphism

自然界で見られる規則的な模様を取り込んだ作品


エルネスト・ネトの作品。
エルネスト・ネトの作品。

概要


ビオモーフィズム(biomorphism)とは、自然界で見られる規則的な模様を取り込んだ芸術作品。有機的形態造形。なかでも、自然界の生物(微生物や細胞など)を連想させる形態を取り込んだ芸術作品に対して用いられるケースが多い。

 

この用語は、1935年にイギリスの作家ジェフリー・グリゴソンによって造られた。その後、1936年の『キュビスムと抽象芸術』展でアルフレッド・バールが、この用語を美術の文脈で使い始めた。ビオモーフィズム芸術は自然の生命のパワーに焦点を当て、球状で定形のない生物の有機的な形態をヒントにしている。

 

シュルレアリスムやアール・ヌーヴォーとの関わりが深く、ビオモーフィズムの代表的な芸術作品としてアントニ・ガウディのサグラダ・ファミリア、イヴ・タンギーの絵画などが挙げられる。ビオモーフィズムの重要な先例としては、アンリ・マティスが1905年に制作した作品『生命の喜び』が挙げられる。

 

現代美術におけるビオモーフィズムと関わりの深い作家といえば、エルネスト・ネトのソフト・スカルプチュア、草間彌生のソフト・スカルプチュアがまず挙げられる。

アンリ・マティス『生命の喜び』(1905年)
アンリ・マティス『生命の喜び』(1905年)

■参考文献

Biomorphism - Wikipedia