ルネ・マグリットの作品一覧
シュルレアリスムを代表するもう一人の巨匠、ルネ・マグリット。彼の作品は日常的なものと非現実的な要素が融合し、見る者に新たな視点を与えます。このページでは、マグリットの代表作や隠れた名作を、独自のテーマや背景とともにご紹介します。

マグリットのプロフィール
ルネ・マグリットは、ベルギー出身の画家で、シュルレアリスム運動を代表する重要な人物です。
彼の作品は、物体を現実ではありえない場所や大きさで描く「デペイズマン」という技法で高く評価されています。この技法を通じて、私たちが現実やイメージをどう認識しているのかについて、深い疑問を投げかけます。
1930年代以降、マグリットの表現は他のシュルレアリストよりも穏やかで知的なものとなり、『白紙委任状』のような錯覚を用いただまし絵や、『イメージの裏切り』のような哲学的な作品が特徴的です。
その哲学的なアプローチは、多くの知識人、特に哲学者ミシェル・フーコーに影響を与えました。また、ポップ・アートやミニマル・アート、コンセプチュアル・アートといった現代美術にも強い影響を与えています。さらに、サルバドール・ダリと同様、彼の独自の作品は大衆文化にも大きな影響を及ぼしました。(ルネ・マグリットの生涯に関してはこちら)
代表作

『イメージの裏切り』は、1928から1929年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。マグリットによれば、この絵は単にパイプのイメージを描いているだけで、絵自体はパイプではないということを言いたかったといいます。だから「これはパイプではない」と記述しています。(続きを読む)

『大家族』は1963年に制作されたルネ・マグリットによる油彩作品。マグリット晩年の作品。日本の宇都宮美術館が所蔵しています。周囲のどんよりとした環境とは対照的に、中央には大きな平和の象徴である白い鳥とその中に広がる夏の空が描かれ、鳥はカットアウトしたような表現で描かれています。(続きを読む)

『人の子』は、1964年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。マグリットはこの作品をセルフ・ポートレイトとして位置づけています。海と曇り空を背景にして、低い壁の前にオーバーコートと山高帽を身につけた男が立っている絵で、男の顔の大部分は緑のリンゴで隠されています。(続きを読む)

『光の帝国』は、1953年から1954年にかけてルネ・マグリットによって制作された油彩作品。マグリット後期の作品で、代表作品の1つ。《光の帝国》はシリーズもので複数存在してますが、本作はベルギー王立美術館に所蔵されている作品です。(続きを読む)

『ゴルコンダ』は1953年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。「ゴルコンダ」とは1687年にムガル帝国によって滅ぼされたインドの都市の名前で、かつて富で知られた幻の都のような都市であったといいます。(続きを読む)

『リスニングルーム』は1952年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。ある物体を本来あるべきところから、別のところへ移すことで新しい美やイメージを創り出す「デペイズマン」方法を利用した代表的な作品で、巨大化した緑のリンゴが部屋いっぱいに配置されています。(続きを読む)

『白紙委任状』は1965年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。1930年以降のマグリットの絵画でよく現れるようになったのが「だまし絵」と「哲学性」であるが、その代表的な作品です。(続きを読む)

『レディ・メイドの花束』は1956年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。マグリットおなじみのモチーフである山高帽の男の背中に、ボッティチェリの『春』に描かれている女神フローラが描かれている作品です。(続きを読む)

『水平線の神秘』は、1955年にルネ・マグリットに制作された油彩作品。作品には一見すると同一人物にみえる山高帽をかぶった3人の男性が描かれており、それぞれが異なる方向を向いています。(続きを読む)

『不許複製』は1937年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。マグリットをはじめシュルレアリムの大パトロンだったエドワード・ジェームズからの依頼で制作された作品です。(続きを読む)

『選択的親和力』は1933年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。作品タイトルはゲーテの「選択的親和力」という言葉から引用している。鳥と卵の親和性が主題となっているデペイズマン作品。(続きを読む)

『幸福の兆し』は、1944年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。妻ジョルジェットの姉へのプレゼントとして描かれた作品。1943年から44年にかけてマグリットの絵画は、これまでよりもカラフルで簡潔になっていく「陽光に満ちた」時代に移るが、その時代の作品です。(続きを読む)

『黒魔術』は1945年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。マグリットの全ヌード作品で最も評価の高い作品と言われています。モデルは妻ジョルジェットで、ジョルジェットの上半身と青空と大理石の彫像とが融合したシュルレアリスム作品です。(続きを読む)

『世界大戦』は1964年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品。上流階級を思わせるきれいなドレスを着て日傘をさした婦人。婦人の顔の真ん中にはスミレの花束が置かれています(続きを読む)
年代別
・鳥を食べる少女,1927年
・イメージの裏切り,1928-1929年
・恋人たち,1928年
・自由の扉で,1929年
・選択的親和力,1934年
・共同発明,1934年
・不許複製,1937年
・貫かれた時間,1938年
・幸福の兆し,1944年
・黒魔術,1945年
・リスニングルーム,1952年
・ゴルコンダ,1953年
・光の帝国,1953-1954年
・レディ・メイドの花束,1954年
・水平線の神秘,1955年
・ピレネーの城,1959年
・大家族,1963年
・世界大戦,1964年
・人の子,1964年
・白紙委任状,1965年
マグリットの生涯から作品を考える

ルネ・マグリットは、ベルギーが生んだシュルレアリスムの巨匠であり、平凡なものに潜む謎を描き続けた画家です。その生涯には、彼の作品を理解するうえで重要な出来事や背景が多く存在します。マグリットの作品は、ただ視覚的に奇妙なだけでなく、彼自身の人生観や哲学を反映した深いメッセージを含んでいます。