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【美術解説】ダンテ・アリギリエール「西洋の芸術に多大な影響を与えた詩人」

ダンテ・アリギリエーリ / Dante Alighieri

西洋の芸術に多大な影響を与えた詩人


ギュスターブ・ドレによる『天国』のイメージ。
ギュスターブ・ドレによる『天国』のイメージ。

概要


ダンテ・アリギリエーリ(1265年-1321年9月14日)は、イタリアのフィレンツェの詩人、作家、哲学者。

 

彼の代表作『神曲』は中世の最も重要な詩の一つで、イタリア語最大の文学作品と広く認識されており、イタリアの文学の確立に貢献した。

 

地獄煉獄天国の描写は、後の西洋の芸術や文学に多大なインスピレーションを与え、ルネサンス文化の先駆者とみなされている。

 

ダンテの基本理念は正統カトリック信仰に支えられ、新しい時代の開拓者としてよりも過去の伝統の統合者としての性格が強い。しかしその初期の作品『新生』には、永遠の恋人ベアトリーチェに対する愛という、かれの個人的体験の告白による新しい人間意識が表れており、最初の近代人と呼ばれるにふさわしいものを持っている。

 

ダンテの『神曲』は多くの美術家やイラストレーターによって視覚化されている。

 

ギュスターヴ・ドレとサンドロ・ボッティチェリなどは、ダンテのテキストに概ね忠実でありながら、作品に変更を加えている。たとえば、ドレは、呪われた者たちの中に女性を増やした。こうして、芸術家は描くだけでなく、自分で解釈して自己表現するようになった。

 

ヒロ二エム・ボスの『地獄』の描写は、ダンテの詩を引用している。ミケランジェロの《最後の審判》についてもダンテの詩を参照にしている。

 

ダンテは、ほとんどの詩がラテン語で書かれ、教養のある読者しか読めなかった時代に、文学における方言の使用を確立したことで知られている。

 

ダンテの『俗語論』は、方言に対する最初の学術的擁護の一つであった。また、『新生活』(1295年)や『神曲』などの作品にトスカーナ方言を用いて、現代の標準的なイタリア語の確立に貢献した。

 

彼の作品は、後にペトラルカやボッカッチョといったイタリアの重要な作家が追随する前例となった。

ウィリアム・ブレイク《恋人たちのつむじ風:ダンテ『地獄編』第五部の挿絵》1824-1827年頃
ウィリアム・ブレイク《恋人たちのつむじ風:ダンテ『地獄編』第五部の挿絵》1824-1827年頃