【注目のアーティスト】富川光義「天地創造からポストヒューマンの世界までを1つにして描く現代細密画家」

MITSUYOSHI TOMIKAWA

天地創造からポストヒューマンの世界までを1つにして描く現代細密画家


『天地創造からポストヒューマンまで』(2013年〜)
『天地創造からポストヒューマンまで』(2013年〜)

概要


1975年生まれ。緻密な作風と哲学的なテーマに基づく作品は国内外で高く評価されている。

 

富川はポストヒューマン思想に影響受けつつ、人類の歴史とこれからの人類の歩みを「世界遺産の宇宙版」として書き起こし、人類が滅んだ後も他の生命体や知的生命体に伝えるということをテーマにしている。

 

富川の代表作は『天地創造からポストヒューマンまで』である。現在は横5メートル、縦3メートル(日々拡大している)で、作者の「死という概念」と向き合う過程で生まれた作品である。

 

全体表現はディープラーニングやクラウドなどを視覚化した状態で、人工知能を総体として

表現している。中心部から「曼荼羅(神)」「創世記」「人類の始まり(歴史)からポストヒューマン誕生まで」を描き、それらすべてを内包し、新たな世界へと続く人類の新たな可能性を開くものとしての「ポストヒューマン」には、前述の作者が死と向き合う中で見出した新たな未来への希望を読み取ることができる。

 

画面上無数に広がる精子は量子力学における「量子」を表している。存在と無存在の中間に位置し、東洋哲学でいう「空」の概念と親和性のある量子を、無数のゆらぎがあり、

生命と非生命の中間に位置する精子になぞえることで、量子と人類との共通項を見出し、

また作品全体にきめ細やかさと緻密性をもたらしている。

 

精子を描く際には、アダルト動画を大音量で流しながら禁欲による衝動を修行僧のように耐えその衝動で『精子が描く=経を唱える行為』としている。その性欲衝動と禁欲の先に「空・悟りの境地」に達しようとする作者の精神性を感じることができる。

 

ほかに渡辺梨加推しの絵描き「Beri Kerr」名義で活動している。

 

1988年、文部大臣奨励賞を受賞。

2016年、NYの展示会出展。

2017年、2018年、2019年、デザインフェスタ出展。

2019年、Art Lab TOKYOで個展を開催。

『この胸に溢れる君への想いが』2016年、(Beri Kerr)名義
『この胸に溢れる君への想いが』2016年、(Beri Kerr)名義

展示