【作品解説】バンクシー「モバイル・ラバーズ」

モバイル・ラバーズ / Mobile Lovers

二人の視線は手に持つ携帯電話に


バンクシー『モバイル・ラバーズ』2014年
バンクシー『モバイル・ラバーズ』2014年

概要


《モバイル・ラバーズ》は2014年4月にバンクシーがブリストルで制作したストリート・アート。

 

男女二人が今にもキスをしようとしているが、二人の視線は手に持つ携帯電話に向かっているように見える。背景全体は暗いが携帯電話の周囲に向かって明るくなっていく。女性の携帯電話の光は女性に反映され、男性の携帯電話の光は男性に反映されている。また、二人ともスーツを着ている。

 

絵はほぼ等身大の大きさで描かれており、真っ黒なドアの上に塗られている。そのためドアが全くないように見え、遠くから見ると二人は小口に立っている非常にリアルの人間に見える。

 

の作品は、「今を生きる」ことの大切さを伝えるメッセージが込められているという。現代社会では、人々はテクノロジーに消費され、スマホを通して生活をしている。しかし、スマホを介して生きることは、人と人とのリアルなつながりを奪うことになる。

 

バンクシーは、人々がスマホやソーシャルメディアに費やす時間が長すぎて、本当に大切な人たちと一緒にその瞬間を過ごす時間が足りないと感じている。

 

作品の中のカップルは、まるでお互いに注意を払っているかのように振る舞っているが、注意は携帯電話へ集中している。


■参考文献

https://medium.com/@kdalkin/mobile-lovers-by-banksy-523b85dc3973、2020年6月14日アクセス