【作品解説】 バンクシー「Nola 傘少女」

Nola 傘少女

ニューオーリンズに描かれた傘少女


バンクシー《Nola》2008年
バンクシー《Nola》2008年

概要


作者 バンクシー
制作年 2008年
メディア 壁画、グラフィティ
場所 ルイジアナ州ニューオーリンズのマリニー地区

《Nola》は2008年にバンクシーによって制作されたストリートアート作品。「傘少女」「雨少女」とも呼ばれることもある。アメリカ、ルイジアナ州ニューオーリンズのマリニー地区のストリート上に描かれた。

 

アメリカでは州・都市にそれぞれユニークなニックネームがつけられている。ニューオーリンズでは「Nola」というニックネームが付けられており、作品タイトルはニューオーリンズのことを指している。

 

この作品は、2005年8月、カトリーヌ・ハリケーンにより甚大な被害を受けてから3年後に描かれたもので、複数存在するバンクシーのハリケーン関連のストリートアートの1つ。ハリケーンで発生した大洪水、および1,836人の悲劇的な死に言及している。

 

少女が持つ傘の内では土砂降りの雨が降り注いでるが、傘の外へ手を出すと雨は降っていない。つまり、傘が雨から自身を保護してくれるわけではなく、実際は傘そのものが土砂降りの原因となっている。

複数あるバージョンの1つ


「Nola」のステンシル作品は、ニューオーリンズにおけるバンクシーの最もパワフルで美しいステンシルの1つ。

 

ニューオーリンズでバンクシーのストリートアートは14種点制作されているが、現在実際にストリート上に残っているのは本作のみとなっている。他の作品は破壊されたり、盗難にあったり、美術館やギャラリーが所蔵している。

 

オリジナルの「Nola」は、建物の所有者による放置や他人からの破壊行為、また度々の盗難未遂のためダメージを受けていたが、2014年から透明のプレキシガラスで覆われ現在は厳重に保護されている。Googleストリートビューからでも確認できる

プリント作品


ストリート上に描かれたから半年後に、最初のNolaのサイン入りプリント作品が発売された。雨の滴りを白く強調したものにアレンジされた作品で289枚限定だった。

 

その後、灰色、ネオンオレンジ、黄色、マルチカラーなどさまざまなカラーのプリント作品が販売されており、すべてバンクシーによるサインとエディンション番号が付けられている。



■参考文献

https://www.myartbroker.com/artist/banksy/nola/、2019年9月29日アクセス