【作品解説】バンクシー「分離国会」

分離国会 / Devolved Parliament

英国下院で議論するチンパンジーたち


バンクシー『分離国会』2019年
バンクシー『分離国会』2019年

概要


『分離国会』は2009年にバンクシーが制作した油彩作品『Question Time』をリワークした作品。作品のサイズは2.5メートル×4.2メートルで、バンクシーが描いたキャンバス作品としては最大級となる。英国下院で議論している政治家たちをチンパンジーに置き換えて描いている。

 

本作品は、2019年の3月から9月の間、ブリストル美術館で2009年に開催された『Banksy vs Bristol Museum』から10年を記念して、ブリストル美術館に展示された。

 

同年、10月3日にロンドンのサザビーズに出品され、990万ポンド(1,220万ドル)で落札され、これまでのバンクシー作品で最高額となった。

 

なお、2009年にブリストル市立博物館・美術館で開催されたバンクシーの個展で初公開された際は『質問時間』というタイトルだった。その後、2011年に個人のコレクターに売却された。

 

チンパンジーの解釈はバンクシーの2002年の作品『Laugh Now』が参考になる。「今は笑え、でもいつかは俺たちが責任者となる」と書かれたエプロンを着たチンパンジーが描かれた作品である。

 

バンクシーはこの作品について「今は笑え、でもいつかは誰も責任をとらなくなる」とコメントしている。おそらく、当時のEU分離問題で揺れていた議会を風刺したものである。

 

また、以前の作品に描かれていたバナナやランプの一部など細部に変更が加えられている。

バンクシー『質問時間』2009年
バンクシー『質問時間』2009年
左:2019年『分離議会』、右:2009年の『質問時間』。ランプやバナナに変更が加えられている。
左:2019年『分離議会』、右:2009年の『質問時間』。ランプやバナナに変更が加えられている。

■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/Devolved_Parliament_(Banksy)、2020年6月13日アクセス

https://www.nytimes.com/2019/09/19/arts/design/banksy-auction.html、2020年6月13日アクセス