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【作品解説】 バンクシー「花束を投げる男」

花束を投げる男 / Flower Thrower

最も有名なバンクシーの作品の1つ


概要


作者 バンクシー
制作年 2003年
場所 ベツレヘム、アッシュ・サロン・ストリート

『花束を投げる男』は、2003年にバンクシーによって制作されたステンシル作品。バンクシーの最も有名な作品の1つであり、ストリートアートの代表作の1つです。

 

パレスチナのヨルダン川西岸地区南部の県ベツレヘムのアッシュ・サロン・ストリート沿いの建物に描かれています。

 

「Love is in the Air」の和訳タイトルは「愛は空中に」とされることが多く、英語では「Flower Thrower」と呼ばれることもあります。

 

「Love is in the Air」が最初に登場したのは2003年でパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が建設されたときです。

 

この分離壁は全長760kmにも及び、最初の『花束を投げる男』はその分離壁の壁に描かれいます。バンクシーはこの分離壁についてこう語っている。

 

「この分離壁のせいで、パレスチナは世界最大の野外刑務所になった。」

 

2005年バンクシーはパレスチナをもう一度訪れ、9つの壁画を残した。その内の一つが上の画像の「Love is in the Air」の壁画です。

 

ちなみにこの壁画はパレスチナのガソリンスタンドの壁に描かれていて、2021年現在でもこの壁画は残っています。

 

ベツレヘムはムスリムが多数派だが、パレスチナにおける最大級のキリスト教コミュニティーも存在する場所である。

バンクシーは活動初期から現在にいたるまでパレスチナ問題に焦点を当てた作品を多数制作しています。本作品はパレスチナ問題を基盤にした初期作品の1つです。2005年に発売されたバンクシーの公式作品集『Wall and Peace』の表紙にもなっています。

 

おもに抗議者・プロテストの象徴としてバンクシーは描いており「仮面の脅迫犯」と呼ばれることもあります。ただし、男が手に持っているのは火炎瓶ではなく色とりどりの花束です。

 

これはプロテストたちが兵士が手に持つ銃身に小さな花を詰め込んだ1967年のアメリカの写真家バーナー・ボストンの写真『フラワー・パワー』から影響を受け、バンクシーが独自に改良したものと思われます。

 

これはバンクシーがパレスチナ人側の権利を支持して実行した多くの作品の1つであり、彼の主張は論争を巻き起こし続けています。

 

Flower Power (photograph)、Wikipediaより
Flower Power (photograph)、Wikipediaより

《花束を投げる男》は描かれた、同年、500枚限定で赤い背景のプリント版が販売されています。

 

シルクスクリーン作品としての作品は2003年、限定500枚で発売された。サイン入り(Signed)はおよそ50枚あると言われ、残りのサインなし(Unsigned)は450枚だと言われています。

 

 

他にもキャンバスやダンボール、ペーパー作品など色んな媒体の「Love is in the Air」が存在します。