【美術解説】画商 スティーブ・ラザライズ「ストリート・アートで最も影響力のある画商」

スティーブ・ラザリデス / Steve Lazarides

ストリート・アートで最も影響力のある画商


概要


生年月日 1969年生まれ
国籍 イギリス
職業 画商
取り扱いジャンル ストリート・アート
公式サイト https://www.lazinc.com/

スティーブ・ラザリデス(1969年生まれ)はイギリスの画商。以前はバンクシーの代理業者として知られていた。ラザライズはストリート・アートの普及に貢献した最初の人物の1人であり、またアンダーグラウンド・アートの最新トレンドにおける権威として知られている。

 

略歴


スティーブ・ラザリデスはイギリスのブリストルで生まれ育った。ニューカッスル大学で写真を学んだあと、鶏肉加工業者、建設業、写真家などさまざまな職に就く。

 

20代のころにラザリデスはバンクシーに出会い、雑誌『Sleaze Nation』で写真家として活動をはじめる。その後、グラフィティ・アーティストたちの作品を友人に売りはじめ、またバンクシーの代理業者となった。一部の情報筋では、バンクシーの美術キャリア形成を本格的にはじめた人物であると言われている。

 

ラザリデスとバンクシーは、その後グラフィティ・アートを促進するため2001年に『Pictures on Walls(POW)』とサイトを立ち上げ、よりたくさんのストリート・アーティストの名簿と作品を管理する。

 

また、社内に「ラザリデス・エディション」という印刷室を設立する。アーティストたちと緊密に協力し、アートコミュニティに作品を伝えるための高品質のプリント作品を制作した。

 

ストリート・アート市場は2008年のリーマンショック前の2007年頃に動きはじめた。バンクシーの作品『Laugh Now』は2008年初頭にオークションで228,000ポンドで販売された。

 

ファイナンシャル・タイムは、「もし、アーバンアート周辺の盛り上げと維持を責任を負う人物が1人いて、その人物の喪失で多くのものを失うとしたら、その人物とはスティーブ・ラザリデスだろう」と批評している。

 

ラザリデスは2006年にロンドンに彼の最初のギャラリーを開き、イギリスの多くの無名のアーティストを紹介したほか、フランスのストリート・アーティスト、インベーダーのイギリスでの初個展『Spader’s Invasion London and Rubik Bad Men II』を開催した。

 

ほかにラザライズは有名な肖像画家ジョナサン・ヨーやパリのアーティストJR、イギリスの現代美術家アンソニー ミカレフらの個展を開催している。

 

2009年にラザリデスは本店をチャリング・クロス・ロードからオックスフォード近郊のラスボーン・プレイスにある5階建てのジョージ王朝様式のタウンハウスへ移す。移転後の最初の展覧会はVhilsの個展で、これはVhilsのイギリスの初個展でもあった。

 

2016年、ラザリデスはサウスバンクのモンドリアンホテルにバンクシー・プリント・ギャラリーを開設した。

 

このスペースはバンクシーとスティーブの協働時代を中心としたもので、またセカンダリーマーケットとしてバンクシーのプリント作品を売買する機会も提供している。

 

なお、公に理由は説明されていないがラザライズとバンクシーの関係は2008年に解消している。

オンラインショップ「LazEmporium」


2020年9月3日、ラザリデスはオンラインショップ「Laz Emporium(ラズエンポリアム)」を開設。ラザリデスの個人コレクションや、委託されたアート作品、そして新く契約したアーティストのオブジェ作品、版画、書籍を販売する予定となっている。

 

ラザリデスがコレクションしているコナー・ハリントンや3D(ロバート・デル・ナジャ)などのアーティストの作品も販売される予定。

 

ラザリデスは「何のためにギャラリーが必要なのか?」と現在のギャラリーシステムに疑問を投げかけ、昨年ギャラリーオーナーを引退し、共同設立者のウィッサム・アル・マナの手に委ねた。独占的にアーティストと契約する時代は終わったという。

 

アートを愛する人たちが、次第に「アート投資家」に変貌していくのを長年見てきたことで、アートの世界に飽きたという。また、年月が経つにつれ、アートの世界はますますありきたりになり、アーティストもギャラリーもクライアントも、誰もリスクを取りたがらなくなってきたとラザリデスは言う。