『ビリー・ボーイの肖像』は、1986年にアンディ・ウォーホルが制作した絵画であり、世界で最も有名な人形「バービー」の肖像が描かれています。
アンディ・ウォーホルは、20世紀を代表する有名人の顔をモチーフにした作品を数多く発表しました。マリリン・モンローやエリザベス女王、モハメド・アリなどの名前は広く知られています。そして、この作品はウォーホルの最後のブランドイメージ作品であり、彼が亡くなる前年に描かれたものです。
ルネ・マグリットの未公開作品『ためらいのワルツ』が10月19日に、パリのサザビーズで行われる近代美術オークションにて競売にかけられることとなりました。このシュルレアリスム絵画は、マグリット作品を象徴する作品であり、1,000万ユーロから1,500万ユーロの値がつくと予想されています。
この絵画は、10月19日のオークションに先駆けて、パリ、ニューヨーク、ブリュッセル、ロンドンで展示されます。一般公開されるのは、1979年にベルギーのイシー・ブラショ画廊で展示されて以来であり、その後はベルギーの3つの個人コレクションに所属していましたが、サザビーズに売却を委託されることとなりました。
『ためらいのワルツ』は、1955年にルネ・マグリットによって制作された油彩作品です。
マグリット独特の白い雲で覆われた広大な青空の背景に、影のある2つの仮面を被ったリンゴが描かれています。リンゴはマグリット作品の特徴的な主題であり、彼はリンゴをモチーフにした作品を数多く制作していました。
『モデル』は、1886年から1888年にかけて描かれたジョルジュ・スーラの作品であり、1888年春の第4回サロン・デ・アンデパンダンに出品されました。この絵は、スーラの代表作の1つとして高く評価されています。フィラデルフィアのバーンズ財団がこの作品を所蔵しています。
スーラの絵画技法は独特で、一部の批評家はその粗雑さから「生の表現」ができないと批判していました。それに対し、スーラは同じモデルのヌードを3つの異なるポーズで描くことで反論しました。
なお、絵の背景左側に描かれているのは、スーラが1884年から1886年にかけて制作した《ラ・グランド・ジャット島の日曜日の午後》の一部です。
『モデル』は、その点描画的な技法と女性の裸体を描いた政治的な意味合いから、特異な作品として高く評価されています。
『扇を持つ女性』は、1917年から1918年にかけて、グスタフ・クリムトによって制作された作品であり、クリムトの最後の肖像画とされています。クリムトの逝去時に、この作品は彼のアトリエのイーゼルに置かれていました。
2023年6月、ロンドンのサザビーズで行われたオークションで、『扇を持つ女性』は8,530万ポンド(約155億円、1億840万米ドル)で落札され、2010年にジャコメッティの彫刻がつけた1億430万ドルを上回り、ヨーロッパにおける美術品としての最高価格となりました。
第三者保証人があらかじめ最低価格を設定していたため、最低でも8000万ドルの値がつくことが確実視されていたこの絵画は、香港在住のアートアドバイザー、パティ・ウォンに落札されるまでの10分間、3人のアジア人入札者と競り合いました。会場は、ロンドンのオークションではここ数年聞かれなかったような万雷の拍手に包まれました。
サザビーズ・ニューヨークは2023年5月18日に開催されるオークションにおいて、奈良美智氏のキャンバス作品『春霞』の出品を発表しまた。
この作品は今回オークションの目玉として注目され、見積もり価格は12,000,000 - 18,000,000 米ドル(約24億円)に設定されています。
『春霞』は、奈良美智が描いた記念碑的な表現の一例であり、頭が大きく包帯を巻いた子供を描いています。この作品は、乳白色の湖に浸かっている激怒した不吉な表情の子どもが描かれています。子どもは顔に包帯を巻き、黄色のボタンが付いた青い服を着ています。
春霞(はるがすみ)は、冬から春になる温度差の激しいときに、空気中の水滴で遠くの景色が見えにくくなる現象のことで、日本で見られる自然現象です。
「ダンス」は、アンリ・マティスによって制作された油彩作品。1909年版「ダンス(Ⅰ)」と1910年版「ダンス(Ⅱ)」の2つの作品が一般的によく知られています。1909年版「ダンス(Ⅰ)」 はニューヨーク近代美術館、1910年版「ダンス(Ⅱ)」はロシアのエルミタージュ美術館が所蔵しています。
ほかに「ダンス」を基盤にしたいくつかよく似た作品があり、代表的なのは「生きる喜び」です。
画面上でダンスを行う人物たちの構図は、ウィリアム・ブレイク1786年の水彩絵画「Oberon, Titania and Puck with fairies dancing" 」を基盤にしています。
アンリ・マティスの「赤のアトリエ」に関する解説ページです。
「赤のアトリエ」はマティスの初期の集大成的な作品です。フォーヴィズム、印象派、後期印象派とこれまでマティスがたどってきた芸術スタイルを融合させた上で、海外旅行で見たさまざまな美術や文化的要素を上書きして表現しています。
パブロ・ピカソ、マルセル・デュシャン、アンディ・ウォーホル作品とならんで、全近代美術作品で最も影響力のある作品500の5位にランクインしています。
キャンバス全体を赤で占有した「赤のアトリエ」は、のちにマーク・ロスコやバーネット・ニューマンなどの抽象表現主義のカラーフィールド・ペインティングの作家たちに多大な影響を与えました。
『ピンクのアトリエ』は、1911年にアンリ・マティスによって制作された油彩作品であり、『赤のアトリエ』と同様の衝撃的な作品の1つです。床と壁に異なる強さのピンクカラーが使用され、質感によって強烈な印象を鑑賞者に与えます。緑と青が配置されることで、ピンクの豪華な輝きが強調されています。
『乳白色湖中』は、2012年に奈良美智が制作した油彩作品。奈良の芸術の成熟期を示す代表的な作品と評価されている。
よく知られている奈良の少女が細部にわたって丁寧に描かれているのが特徴で、パールがかった中間色の背景から緑のドレスを着たオレンジ色の髪の少女が、波打つ水たまりに足を浸して、両手を後ろに回し、浮かびあがっている。
この作品は、1995年に開催された初個展『「In the Deepest Puddle, In the Milky Lake」での主要なモチーフである。顔料を丹念に重ね、細部まで美しく描かれた少女の目は、絵画の魂であり、初期のいたずらっぽい視線から、後の夢見るような視線へと、画家が移行したことを明確に示している。
2023年のサザビーズ香港のオークションで8500万香港ドル(約14億4700万円)で落札された。
愛知県出身の現代美術家、長井朋子は、80年代以降の日本の現代美術家の代表として注目されている。長井の作品は、演劇的な構図と重厚な色彩で「小さな世界」と呼ばれるファンタジー空間を表現しており、現代の目まぐるしい生活の中で多くの人々に愛されている。彼女の代表作である『フルーツポンチの休日』は、クリーム色の白、淡いブルー、柔らかいグリーンで、芽吹く風景を描いている。この作品は、2023年4月6日に香港のオークションで660,000香港ドル(約1100万円)で落札された。