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【作品解説】クロード・モネ「サント・アドレスの庭園」

サント・アドレスの庭園 / Garden at Sainte-Adresse

北斎の版画から影響を受けたモネの絵


クロード・モネ《サント・アドレスの庭園》,1867年
クロード・モネ《サント・アドレスの庭園》,1867年

概要


作者 クロード・モネ
制作年 1867年
サイズ 98.1 cm × 129.9 cm
メディウム キャンバスに油彩
所蔵者 メトロポリタン美術館

《サント・アドレスの庭園》は、1867年にクロード・モネが制作した油彩絵画。1879年4月10日から5月11日にかけてパリで開催された第4回印象派展に出品されたものである。

 

本作品は、モネが1867年の夏、ル・アーヴル(フランス)に近い英仏海峡沿いのリゾート地サント・アドレスで過ごしたときに制作されたものである。

 

伝統的な手法で描かれた滑らかな部分と、高速で分離した筆致のきらめく部分、そして純色の斑点が組み合わされている。

 

モデルはおそらくモネの父アドルフ(前景)、モネのいとこの妻ジャンヌ=マルグリット・ルカドル(柵の前)と彼女の父アドルフ、おそらく姉のソフィー(鑑賞者に背を向けて座っている女性)である。

 

豊かな家庭の様子がうかがえるが、決して家族の肖像画というわけではない。この年の夏、モネは父親と張り詰めた関係にあった。モネと最初の妻カミーユ・ドンシューとの交際を、家族が反対していたからだ。

 

モネは書簡の中でこの作品を「旗のある中国の絵」と呼んでいた。一方、友人のピエール=オーギュスト・ルノワールはこの作品を「日本画」と呼んでいる。

 

1860年代のこの構図は、モネ、マネ、ルノワール、ホイッスラーらが熱心に収集した日本の浮世絵を彷彿とさせる。この絵のモチーフとなったと思われる北斎の版画『富嶽三十六景 五百らかん寺さざゐどう』(1830年)は、現在もジヴェルニーのモネのハウスミュージアムに残されている。

 

『富嶽三十六景 五百らかん寺さざゐどう』
『富嶽三十六景 五百らかん寺さざゐどう』

視点が高く、水平方向の面積が比較的均等であるため、絵画における平面性が強調されている。

この構図では、3つの水平空間に前後に遠近感を出して立体的にするよりも、画面全体に平行に描かれているように見える。この、幻想と二次元の組み合わせから生まれる微妙な緊張感は、モネの作風の重要な特徴であり続けた。

 

現在、この絵はニューヨーク・メトロポリタン美術館に所蔵されている。1967年12月、術館の友人たちからの特別な寄付よってクリスティーズのオークションで落札され、メトロポリタン美術館にや遺贈された。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/Garden_at_Sainte-Adresse、2022年1月11日アクセス