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【作品解説】ロバート・E・リー記念碑の改ざん「最も影響力のあるアメリカのプロテスト・アート」

ロバート・E・リー記念碑の改ざん / defaced monument of Robert E. Lee

最も影響力のあるアメリカのプロテスト・アート



作者 BLM運動家、ダスティン・クライン
制作年 2020年6月 
ムーブメント プロテスト・アートストリート・アート、BLM運動
場所 ヴァージニア州リッチモンド、ロバート・E・リー像

 

『ロバート・E・リー記念碑』は、2020年6月、ミネアポリスで発生したBLM運動が全米に拡大していく中で起こったプロテスト・アート。バージニア州リッチモンド中心地に設置されているリー将軍像が奴隷制の象徴として落書きなどの改ざんを受けた芸術

 

2020年10月、改ざんされた記念碑は、第二次世界大戦以来、最も影響力のあるアメリカのプロテスト・アートの1つと評価された。

 

1890年以来、高さ61フィートの巨大な馬術像がバージニア州リッチモンドにそびえ立っている。リーは馬の上に14フィート(4.3 m)の高さで立っており、像全体は石の土台の上に60フィート(18 m)の高さである。

 

これは、最初の南軍南部連合の旧首都に建立された記念碑で、リッチモンド市の歴史的なモニュメントアベニューに残っている唯一の南軍の彫像である。

 

BLM運動が発生するまでは、たまに来る観光客以外にほとんど人が集まることはない寂れた場所だった。

 

しかし、ジョージ・フロイドに対する警察の残虐行為や人種差別に対する抗議が全国に広がり、多くの都市で連邦記念碑が取り壊されていく中で、この像にも注目が集まり始めた。多くの人々がここにやってきて像を引き倒そうとしたが、巨大過ぎて倒せないため、代わりに落書きされ、その外観は劇的に芸術化した。

 

改ざんされて以来、子どもや家族が写真を撮り、周囲に屋台、有権者登録テント、ポータブルバスケットボールフープ、貸出図書館が出現し、音楽やダンスをする人々の姿も見られるようになった。

ある夜、地元のバンドがレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの曲をカバーした。R&BスターのTrey Songzは、6月16日にキャンドルビジルを開催した。翌朝、土曜日、新婚夫婦が白いウェディングドレスを着て像にポーズをとった。カップルが拳を上げると、群衆が集まり、歓声を上げた。

 

ペンキ缶が、他の訪問者が使えるようにいつも残されており、毎日新しい落書きが追加されていった。夜にはダスティン・クラインというアーティストが、警察に殺された黒人市民や歴史を変えた偉大な黒人男性や女性の写真やビデオを投影した。

 

ジョージ・フロイド、ブレオナ・テイラー、フレデリック・ダグラス、ハリエット・タブマン、ビリー・ホリデーなどの人物は、歴史を通して偉大な黒人思想家を思い出す。

 

かつてこの像を敬遠していた人々は、今ではBLM運動の象徴となっているものを巡礼し、新たに多様な市民の集いの場となっている。

 今日、多くの人がリーを人種差別とアメリカの奴隷制の歴史の象徴と見なしている。彼の像はまた、人種、神話、国民和解をめぐる米国の勘定の変化を反映している。

 

南軍の将軍と兵士を記念する彫像は、近年、アメリカ全土の議論の中心となっており、彫像反対派は、奴隷制の支持者を誤って称えているものだと主張している。一方、多くの歴史家を含む彫像の保存を擁護する人々は、過去の過ちついての重要な教訓を教えることができるので、彫像を破壊すべきではないと主張している。

 

人種的正義に対する全国的な抗議の中で、6月に将軍の像を撤去する計画をバージニア州の民主党のラルフ・ノーサム知事が発表。

 

リー将軍像を撤去して美術館に保管する方針を表明し、10月に銅像を撤去する権限を認めた判決を称賛し、「こうした像は、文字通りすべての間違った理由で1世紀前に建設された。本来、公共広場ではなく美術館が所蔵すべきものである」と述べた。

 

2020年10月の判決では、州には記念碑の設置を維持する義務がないと判断さしたが、即時の撤去は上訴中で中止された。