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【作品解説】ジャン=ミシェル・バスキア「ラ・ハラ」

ラ・ハラ / La Hara

バスキアの数少ない白人男性ポートレイト


ジャン=ミシェル・バスキア《ラ・ハラ》(1981年)
ジャン=ミシェル・バスキア《ラ・ハラ》(1981年)

概要


作者 ジャン=ミシェル・バスキア
制作年 1981年
メディウム 木製パネルにアクリル、オイルスティック
ムーブメント 新表現主義
サイズ 180 cm × 121.3 cm

《ラ・ハラ》は、1981年にジャン=ミシェル・バスキアが制作した絵画。骸骨のような警察官を描いたもので、2017年5月にクリスティーズで3,500万ドルで落札された。

 

《ラ・ハラ》を描いた1981年は、バスキアがストリート・アーティストからファイン・アート界へと移行した重要な年だった。

 

バスキアはソーホーにあるアニナ・ノセイ・ギャラリーの地下のスタジオスペースで制作を始め、そこで《ラ・ハラ》が制作された。バスキアのこの時期の初期の絵画は、彼の最も貴重な作品とみなされている。

 

《ラ・ハラ》は、バスキアが描いた数少ない白人男性の作品である。赤色の背景に、尖った帽子をかぶった白い骸骨のような人物が威嚇するように描かれ、絵の随所に鮮やかな色や図が描かれている。人物の左側には「LA HARA」という文字が繰り返し書かれている。

 

プエルトリコの文化を背景にて制作された「la hara」は、ヌヨリカン語で警察を意味するスラング「la jara」に由来しており、またアイルランド人の姓「O'Hara」をもじったものである。

 

O'Haraは、1940年代から1950年代にかけて、ニューヨークの警察官によくある苗字だったという。

 

絵の下部は、鉄製の監獄や鉄格子が描かれ、全体的に灰色になっている。

 

この絵が初めてオークションに登場したのは、1989年のサザビーズで、当時34万1,000ドルで落札された。その後、アメリカの実業家で美術品コレクターのスティーブ・コーエンに個人間取引で売却された。

 

2017年5月に開催されたクリスティーズの戦後・現代美術オークションで、販売前の予想価格2800万ドルを上回る3500万ドルで落札された。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/La_Hara_(1981_painting)、2021年12月2日アクセス