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【作品解説】フィンセント・ファン・ゴッホ「赤い葡萄畑」

赤い葡萄畑 / The Red Vineyard

生前中に売れたたった1枚の記念的作品


フィンセント・ファン・ゴッホ「赤い葡萄畑」(1888年)
フィンセント・ファン・ゴッホ「赤い葡萄畑」(1888年)

概要


作者 フィンセント・ファン・ゴッホ
制作年 1888年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 75 cm × 93 cm
コレクション プーシキン美術館

《赤い葡萄畑》は1888年にフィンセント・ファン・ゴッホによって制作された油彩作品。ゴッホが生前中に売れたたった1枚の記念的作品として知られている。

 

1888年10月、ゴッホが計画していた芸術コロニーを頼ってゴーギャンがアルルを訪れる。二人はアトリエをシェアし、戸外制作も行うようになる。本作品はその頃に制作されたものである。

 

ゴッホは当時、秋を感じさせる赤と黄色に変化したアルルのブドウ畑に魅了されていた。太陽の黄色い光が水面に反射し、赤い葡萄畑とうまく調和している。

ゴーギャンもアルルの葡萄畑の絵を描いている


ゴーギャンの影響も大きい。当時ゴーギャンもゴッホと同じくアルルの葡萄畑で葡萄を収穫するブルターニュの女性の姿を描いていた。彼の作品「ぶどうの収穫、人間の悲劇」は、ゴッホと共同制作をしていた南仏アルルで制作されている。

 

メランコリックな表情の少女の背後に、真っ赤な葡萄を収穫している女性農夫の姿を描いているのが印象的である。

ポール・ゴーギャン「葡萄の収穫、人間の悲劇」(1888年)
ポール・ゴーギャン「葡萄の収穫、人間の悲劇」(1888年)

作品の所蔵先


本作品は1890年にブリュッセルで開催されたグループ展「20人展」で初めて展示され、アンナ・ボックが400フラン(現在でいえば1000~1050ドル)で購入した。彼女は20人展の参加メンバーした印象派の画家であり、ベルギーのアートコレクターだった。またゴッホの友人であるユージ二・ボスの姉だった。

 

のちに本作品はロシアの著名コレクターであるセルゲイ・シューシキンが購入し、その後ボルシェビキにより国有化され現在は、モスクワにあるプーシキン美術館が所蔵している。