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【作品解説】サルバドール・ダリ作品一覧「時計、記憶の固執、ブロスター電話など」

サルバドール・ダリの作品一覧


サルバドール・ダリは最も影響力のあるシュルレアリスム芸術家の一人で、その作品はしばしば奇妙な視覚的イメージやシンボルを特徴とし、人間の経験の深みにまで達する夢のようなシーンを思い起こさせるものである。

 

彼の芸術的スタイルは、しばしば形而上学的、夢想的、自伝的要素の概念で遊んでいる。彼の最も代表的な作品である「記憶の固執」(1931年)はその典型的な例で、特異で奇妙なイメージは潜在意識を暗示し、遊び心と芸術的創意に限界がないことを示唆してる。

 

ダリは、その大胆で示唆に富む芸術作品によって、想像力を魅了し、人間の状態への深い探求を促す、20世紀で最も有名な芸術家の一人であり続けている。

代表作


《記憶の固執》
《記憶の固執》

《記憶の固執》は、1931年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ダリ初期の作品であり、ダリの代表作である。《記憶の固執》は「柔らかい時計」や「溶ける時計」と呼ばれることもある。現在本作は、ニューヨークにあるニューヨーク近代美術館に収蔵されている。(続きを読む



《茹でた隠元豆のある柔らかい構造》
《茹でた隠元豆のある柔らかい構造》

《茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)》は、1936年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。1936年から始まるスペイン内乱の不安を察知してダリが描いた作品である。この絵画を描いてから6ヶ月後に実際に内乱が勃発した。そうしてダリは「潜在意識には予言力がある」と気付いたという。(続きを読む



《新人類の誕生を見つめる地政学の子ども》
《新人類の誕生を見つめる地政学の子ども》

《新人類の誕生を見つめる地政学の子供》は第二次世界大戦勃発後、ダリが1940年から1948年までアメリカに亡命していたときに描いた作品。この時期は近代美術の核心である"抽象性"に反発してルネサンス古典絵画やカトリック宗教からインスピレーションを受けていた。(続きを読む



《聖アントワーヌの誘惑》
《聖アントワーヌの誘惑》

《聖アントワーヌの誘惑》は、1946年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ダリの「古典主義時代」「ダリ・ルネサンス」の代表的な作品として知られている。天国と地球の中間、欲望と禁欲の葛藤、関心と不安といったものが表現している。(続きを読む



《超立方体的人体(磔刑)》
《超立方体的人体(磔刑)》

《超立方体的人体(磔刑)》は、1954年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。西洋美術史の伝統的な主題であるイエス・キリストの磔を基盤にして、四次元の超立方体「ハイパーキューブ」の展開図。(続きを読む



《水面に象を映す白鳥》
《水面に象を映す白鳥》

《水面に象を映す白鳥》は、1937年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。《ナルシスの変貌》と並んで、偏執狂的批判的方法(ダブルイメージ)で描かれた代表的な作品として知られている。(続きを読む



《ナルシスの変貌》
《ナルシスの変貌》

《ナルシスの変貌》は1937年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。《水面に象を映す白鳥》と並んで、偏執狂的批判的方法(ダブル・イメージ)を利用した代表的な作品の1つであり、ダリの代表作の1つ。主題はローマの詩人オウィディウスの『転身物語』である。(続きを読む



《大自慰者》
《大自慰者》

《大自慰者》は、1929年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。《記憶の固執》とともにダリの初期の代表作とみなされている。(続きを読む



《メイ・ウエストの唇ソファ》
《メイ・ウエストの唇ソファ》

《メイ・ウエストの唇ソファ》は、1937年にサルバドール・ダリによってデザインされた超現実家具。実際の制作は家具職人でダリはデザインを担当。ハリウッド女優メイ・ウエストからインスピレーションを受けて制作。20世紀で最もセンセーショナルな家具とされている。(続きを読む



《カタルーニャのパン》
《カタルーニャのパン》

《カタルーニャのパン》は1932年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。パンはダリにとって最も古くからのフェティシズムの題材の1つ。ダリはパンに強いこだわりを持ち、パンを男性器に置き換えた表現をよく行う。(続きを読む



《皿のない皿の上の卵》
《皿のない皿の上の卵》

《皿のない皿の上の卵》は1932年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ダリが生まれる以前の子宮内にいたときの記憶を元に描かれた絵画だという。ダリによれば、子宮内の色は、赤、オレンジ、黄色、そして青みがかった炎の色だったらしく、子宮内の光景がそのまま作品に反映されている。(続きを読む



《アンダルシアの犬》
《アンダルシアの犬》

『アンダルシアの犬』は、1929年にルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリの二人が共同監督として制作した無声短編映画。美術史としては初めてのシュルレアリスム映画として評価されているが、映画においてはカルト映画の古典として、またルイス・ブニュエルの初作品と紹介されることがよくある。(続きを読む



《目覚めの一瞬前に柘榴の周りを蜜蜂が飛びまわったことによって引き起こされた夢》
《目覚めの一瞬前に柘榴の周りを蜜蜂が飛びまわったことによって引き起こされた夢》

《目覚めの一瞬前に柘榴の周りを蜜蜂が飛びまわったことによって引き起こされた夢》は1944年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。1962年にダリはこの作品についてフロイトの夢解釈からヒントを得て描いたと話している。(続きを読む



《レダ・アトミカ》
《レダ・アトミカ》

《レダ・アトミカ》は1949年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ベースにしているのは古代ギリシア神話の「レダ」で、白鳥と台座に座ったスパルタの神話の女王レダが描かれている。《レダ・アトミカ》では、レダはガラの肖像となり、ダリは白鳥に姿を変えて描かれている(続きを読む



《縄跳びをする少女のいる風景》
《縄跳びをする少女のいる風景》

《縄跳びをする少女のいる風景》は、1936年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。英国人コレクターのエドワード・ジェームズの依頼により制作されたもので、側部パネルと中央パネルの三連画構成となっている。(続きを読む



《ロブスター電話》
《ロブスター電話》

《ロブスター・テレフォン》は英国人コレクターであるエドワード・ジェイムズの依頼により、本物の黒電話に石膏製のロブスターを接着させている。初期超現実オブジェの代表的な作品として紹介されることが多い。(続きを読む



《記憶の固執の崩壊》
《記憶の固執の崩壊》

《記憶の固執の崩壊》は、1954年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。1931年に制作された《記憶の固執》のリメイク版。原題は「記憶の固執の崩壊が始まっている高度に着色された魚の目の染色体」である。(続きを読む



《窓辺の少女》
《窓辺の少女》

《窓辺の少女》は、1925年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。モデルは当時ダリのモデルであった妹のアナ・マリア。カダケスにあったダリ家の休暇用の家の窓辺にもたれかかり、なにか物思いにふけっている姿を描いている。(続きを読む



《器官と手》
《器官と手》

《器官と手》は、1927年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ダリはこのとき23歳で、9ヶ月の兵役を終え、画家として独り立ちしはじめたころの初期シュルレアリスム作品である。のちの傑作《記憶の固執》のプロトタイプのような作品。(続きを読む



《陰鬱な遊戯》
《陰鬱な遊戯》

「陰鬱な遊戯」は、1929年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。初期作品でこの年にダリはガラに出会っている。この作品の主題は自慰行為と性的恐怖である。(続きを読む



《回顧的女性像》
《回顧的女性像》

《回顧的女性胸像》は1933年にサルバドール・ダリによって制作された彫刻作品。超現実オブジェ。ダリによれば、農作業をする夫婦が、教会から聞こえる夕刻を知らせる鐘に合わせて祈りを捧げているミレーの《晩鐘》から着想を得たという。(続きを読む



《象》
《象》

《象》は1948年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。"宇宙象"というダリが作った足の長い象は、《聖アントワーヌの誘惑》や《目覚めの一瞬前、ザクロの実のまわりを一匹の蜜蜂が飛んで生じた夢》など、さまざまな作品に現れるダリの代表的なイコン聖像の1つ。(続きを読む



《十字架の聖ヨハネのキリスト》
《十字架の聖ヨハネのキリスト》

《十字架の聖ヨハネのキリスト》は、1951年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。船や漁師がいる湖の上空を十字架に磔にされ浮遊しているイエス・キリストを表現したものである。(続きを読む



《自らの純潔に獣姦される若い処女》
《自らの純潔に獣姦される若い処女》

《自らの純潔に獣姦される若い処女》は、1954年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ダリ後期の代表作の1つ。描かれている女性は妹アナ・マリア。この作品は1949年にアナ・マリアが出版した『妹が見たサルバドール・ダリ』と関係が深い作品である。(続きを読む


《ポルトリガトの聖母》
《ポルトリガトの聖母》

《ポルト・リガトの聖母》は、サルバドール・ダリによって制作された絵画作品。作品のもとになっているのはピエロ・デッラ・フランチェスカ作《天使と六聖人と聖母子》である。また、全体を緻密な遠近法で仕上げ、ルネサンスの宗教画のもつ荘厳な雰囲気を再現している。(続きを読む