近代美術 / Modern art
近代人の芸術を創造するため伝統的な芸術を破壊した19世紀後半の芸術

現代美術に興味があるけれど、何から勉強したらいいかわからない?もし、あなたの答えがイエスなら、あなたは正しい場所にいますよ。この記事では、モダンアートの基礎とその歴史について学びます。印象派、キュビズム、シュルレアリスムなどのスタイルの概要を説明し、それらがモダンアートの発展に及ぼした影響について論じます。モダンアートを形成するムーブメントに影響を与えた印象派や後期印象派についても、探っていきます。というわけで、モダンアートについてもっと知りたい方は、ぜひご一読ください。
概要
近代美術とは
近代美術(モダンアート)は、実験精神を重視し、過去の伝統的な美術様式から脱しようとした思想や様式を抱いた芸術作品。
美術史において近代美術とは、写実的な初期印象派から脱しようとした後期印象派や新印象派、またリアリズムから脱しようとした象徴主義が源流とされている。一般的に認知されているのは、おおよそ1860年代から1970年代までに制作された作品と認識されている。。
具体的な芸術様式(印象派やキュビズムやシュルレアリスムなどのようなこと)を挙げるなら、クロード・モネらの印象派、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・ゴーギャン、ポール・セザンヌ、ジョルジュ・スーラ、といった後期印象派の画家たちで、彼らの動向こそが視覚美術のスタイルにおける近代美術の発展における本質的な存在だった。なお、コンセプチュアル・アートが主流となった1970年代以降は「現代美術」と区別されている。
「近代」という言葉は、一般的には封建主義時代や中世より後の資本主義社会・市民社会の時代のこと、すなわち「個人主義」や「民主主義」の時代のことを指し示し、これは、国家や社会の権威に対して個人の権利と自由を尊重する立場をとる姿勢のことを意味する。
ブリタニカ国際百科事典によれば、近代を特徴づける思想傾向としては、個人主義、合理主義、世俗化、自由主義などがあげられ、科学、技術の進歩と結びついた産業資本主義の発達を近代化の起動力とみなす考えが有力であるという。
「近代美術」の本質とは、こうした要素を含めつつ「近代」以前の王朝や宗教国家の権威を高めるプロパガンダ美術に対して、個人の自由を主張し対抗する民主主義の美術といえるだろう。言い換えれば、独裁国家に近代美術が根付くことはない。
こうしてみると近代美術の萌芽は、自宅でこっそり黒い絵画シリーズを描いていたフランシス・デ・ゴヤ、フランス革命を描いたウジェーヌ・ドラクロワ、自分が実際に見たものだけを描いたギュスターブ・クールベなどの作品に見られ、その後、100年かけて美術様式と対応しながらゆっくり育ち、現在も続いている。
本サイトでは西洋の社会と文化が決定的な形で「近代」に変貌した18世紀終わりから19世紀、20世紀、そして21世紀の現在までの美術を包括的に展望していく。
重要ポイント
- 「近代」とは中世や封建主義以降の時代の言葉である
- 個人主義、合理主義、世俗化、自由主義など民主主義的な価値観を基盤として制作された美術である
- 美術様式に沿えば1860年代から1970年代までに制作された美術様式とされている
近代美術の起源
近代彫刻や建築は19世紀の終わりに現れたとみなされているが、近代絵画の起源はもう少し早い。おそらく、最も一般的に近代美術の誕生年とみなされているのは1863年である。この年は、エドワード・マネがパリの落選展で「草上の昼食」を展示して、批評家たちに批判されるなどスキャンダルを巻き起こした年である。
マネ以前の日付もいくつか提案されている。たとえば、ギュスターヴ・クールベの1855年作「画家のアトリエ」や、ジャック=ルイ・ダヴィッドの1784年作「ホラティウス兄弟の誓い」を近代美術の始まりとみなす人もいる。
黒い絵画シリーズを描いていたフランシス・デ・ゴヤ、フランス革命を描いたウジェーヌ・ドラクロワを近代美術の萌芽とみなすものもいるだろう。
美術史家のH.ハーバード・アーナソンによれば「それぞれの日付は、近代美術の発展において重要な意味を持つが、まったく新しい始まりの年ではない。近代美術は100年かけてゆっくりと生成されてきた」という。
最終的に近代美術と結びつきのある思考の源は、17世紀の啓蒙主義にまで遡ることができる。美術批評家のクレメント・グリーンバーグは、たとえば哲学者のエマニエル・カントを「最初の実際のモダニスト」と描写し、「啓蒙主義は外部から批判し、モダニズムは内部から批判する」と書いた。
カントは『判断力批判』(1790年)において、主観性を前提に美に関する趣味判断の問題を論じたことを論じた。それは、古典古代の理想美に絶対的な規範を見ていた伝統的な価値観から、美を主観的なものとして相対化し、多様であることを認める近代的な価値観へと移行したからにほかならない。
そして、1789年のフランス革命とナポレオン時代は、何世紀にもわたってほとんど疑問ももたず慣れ親しんできた伝統的な政治や社会制度を根絶やしにしたことで、近代美術の発展の源であるともいえるだろう。
ジャック・ルイ・タヴィッドが描いた《皇帝ナポレオン一世の聖別式》やアングルの《玉座のナポレオン一世》の主役は、国王でも、教皇でもなく、庶民からの圧倒的なカリスマによって最高権力にのぼりつめた個人が描かれた。


個人の探求と新しい技術やメディウムの誕生
19世紀になると多くの芸術家たちが、自分たちが興味のある人物、場所、考えを主題として自由にキャンバスに描写するようになったのも近代以前の美術と大きく異なる。
19世紀当時の主流派は、フランスを含めいずれの国でも神話や宗教、歴史の寓意などを主題として、伝統的な写実技法で表現する「歴史画(物語画)」が中心だった。しかし、市民社会が進むにつれ、描かれる主題は通俗性を帯び、一般には肖像画、風俗画、風景画のようなものに変質した。
さらに、ジグムント・フロイトの『夢の解釈』が1899年に出版され無意識の世界に興味が示されるようになると、多くの芸術家たちは、自己の経験を表現する手段として、夢、象徴性、内面を探求し始めた。
また、こうしたなか芸術は現実的な世界を描写する必要があるという觀念に挑戦し、色、非伝統的な素材、新しいテクニックとメディウムを利用して実験的な芸術制作を行うようになった。
たとえば、1830年代に発明された写真という表現手段がその1つであり、写真は世界を描写・再解釈するための新しい方法となった。19世紀末にはモーション・ピクチャー、映像が出現した。
芸術運動と近代美術
近代美術を追う上で欠かせないのが「芸術運動(art movement)」である。
芸術運動とは特定の共通した芸術哲学や目標を持った芸術の傾向・スタイルのこと。芸術運動は普通、設立者または批評家などによって定義された哲学や目標のもと、限定された期間(通常は数ヶ月、数年、数十年)内で、継続的な活動が行われる。
絶対権力が芸術的価値を定めていた中世や封建時代と異なり、近代美術においては「アート・ムーブメント」が芸術的価値を保証する。連続的な動きを持った芸術活動は新しい前衛表現としてムーブメントみなされ、美術史に記録されることが多い。
特に視覚芸術の世界においては、現代の美術の時代になってさえも、芸術家、理論家、評論家、コレクター、画商たちはモダニズムの絶え間ない継続や近代美術の継続に注意を払っており、新しい芸術哲学の出現に対して歓迎の態度を示す。
近代美術の先駆的な芸術運動はロマン主義、現実主義、印象派だった。その後19世紀後半までに後期印象派と象徴主義が出現した。これら運動の影響は、東洋装飾芸術、特に日本の浮世絵版画の影響も大きく色彩変化をもたらした。
色彩や筆致そのものが芸術の表現主義の系譜
19世紀の末から20世紀初頭にかけての時期の世紀末の画家たちは、写実主義の頂点としての印象派に対する反動から、内部の世界への眼の持つ可能性や感覚的で移ろいやすい印象よりも知的な構成、形態を重視するなどさまざまな形で探求し続けた。
近代美術の表現には大きく3つの潮流がある。
1つは後期印象派らの画家、とりわけゴッホやゴーギャンらの色彩そのものが有する独自の表現力を信じて、魂から魂に語りかける芸術の創造である。ゴッホやゴーギャンらは、特にフォービズム、表現主義、抽象芸術、プリミティヴィズムに影響を与えた。
20世紀初頭、アンリ・マティスをはじめ、ジョルジュ・ブラック、アンドレ・ドラン、ラウル・デュフィ、ジャン・メッツァンジェ、モーリス・ド・ヴラマンクといった若手画家たちがパリの美術世界で革命を起こす。彼らは“フォービィスム(野獣派)”と呼ばれ、色彩それ自体に表現があるものと見なし、とりわけ、人間の内的感情や感覚を表現するのに色彩は重要なものとし、色彩自体が作り出す自律的な世界を研究した。
特にアンリ・マティス作品の「ダンス」は、マティス自身の芸術キャリアにとっても、近代絵画の展開においても重要な作品となる。この作品はプリミティブ・アートに潜む芸術の初期衝動を反映したものであるという。
冷たい青緑の背景と対照に人物造形は温かみのある色が使われ、裸の女性たちが輪になって手を繋ぎ、リズミカルに踊っている。絵からは縛られない自由な感情や快楽主義的なものが伝わってくる。


抽象芸術や理論的な表現の系譜
2番めの潮流は、感覚的で移ろいやすい印象よりも知的な構成や形態を重視するポール・セザンヌの理論に基づいた表現である。
セザンヌの影響が色濃いのはパブロ・ピカソである。ピカソは自然の形態を立方体、球体、円錐の集積と見て、これらを積み重ねることで、対象を“再現”するというより“構成”してゆくというセザンヌ方法を基盤としてキュビスム絵画を発明した。
1907年の《アヴィニョンの娘たち》が近代美術の代表的な作品で、プリミティズム・アートの導入や従来の遠近法を無視したフラットで二次元的な絵画構成において、伝統的なヨーロッパの絵画へのラディカルな革命行動を起こした。


内面的で非現実的な世界を表現する系譜
最後は、目に見える世界だけを追いかけるリアリズム、その延長線上の印象主義に対する反動として19世紀に発生した象徴主義の潮流である。象徴主義はゴッホやゴーギャン、セザンヌなどの後期印象派の流れとは別に、ほぼ並行して発生した美術スタイルである。
象徴主義はヨーロッパ全域、アメリカ、ロシアにも見られるもので、ギュスーターブ・モロー、オディロン・ルドン、イギリスのラファエル前派、グスタフ・クリムト、アルノルト・ベックリン、エドヴァルド・ムンクなどが代表的な画家として挙げられる。
象徴主義はとりわけカンディンスキー、モンドリアン、ロシア・アヴァンギャルド、シュルレアリスムに多大な影響を及ぼした。


非美術教育の芸術
そのほかに「プリミティヴィズム(原始芸術)」や「素朴派(ナイーブアート)」と呼ばれる流れがある。
素朴派は日曜画家のアンリ・ルソーを始祖とし、プロのうまい絵に対するアマチュアな素人のへたな稚拙な絵であるが、同時にそのへたさ加減や稚拙さが魅力になっている絵画である。

以上のように、近代美術をざっくり分類すると
- 個人の感情を優先する「表現主義」
- 知的で理性に基づいた「抽象主義」
- 個人の内面の非現実的な世界を描いた「象徴主義」
- 美術教育を受けていない素人たちの「素朴派」
4つの系譜 である。この系譜では21世紀の現在でも形を続いている。詳細は次に記述する。
近代美術は1970年以降も続いている
近代美術と現代美術は区別されがちだが、実際のところ21世紀の現在にいたるまで近代美術は継続している。その理由を5つの共通点から見ていこう。
1:科学や資本主義の発展に伴う世俗化の進行
近代美術の誕生は、西ヨーロッパや北アメリカにおいて、生産・交通などで大きな技術革新が生まれ、経済・社会・文化の構造に変革をもたらした18世紀から19世紀にかけて発生した産業革命までさかのぼる。
この時代、鉄道や蒸気機関など新しい輸送形態が誕生し、人々の生活や労働形態を変化させ、旅行が生まれ、国内外で世界観を広げて新しい思想を生み出すようになった。都市の中心が繁栄するにつれ、労働者は産業集約のため都市に集まり、都市人口は急増した。科学技術の進歩と産業革命を経て資本主義が高度に発達する一方、宗教の衰退をもたらし、キリスト教の社会的権威は次第に弱体化し、世俗化が進行していった。
西洋美術の表現の変遷もこのような社会背景の変遷と密接に結びついている。古典古代の理想美に絶対的な規範を見ていた伝統的な価値観から、美を主観的なものとして相対化し、多様であることを認める近代的な価値観へと移行したからにほからない。
ロマン派の画家ドラクロワは「美の多様性について」(1857年)という文章のなかで、美は古代ギリシアだけにあるのではなく、異なる時代や地域には異なる美が存在すること、偉大な詩人や芸術家が美を生み出すのは各々の個性や特異性からであると主張している。このような美意識の変化は近代以前の芸術観から根本的な変化のあらわれてあるといっていい。
21世紀の現在、現代美術やアート・ワールドと呼ばれている世界においても、このような世俗化の進行と並行した現代美術市場の成長、また伝統的な美から多様性であることを良しとする美の価値基準は変わっていないといえる。
2:画商=批評家システム
作品の受容という観点から美術価値の変化が起こった見逃すことはできない。19世紀末から従来の「アカデミック・システム」から「画商=批評家システム」への移行が始まった。
19世紀以前、まだ芸術家たちは一般的に富裕パトロンや教会からの注文で作品を制作していた。このような芸術の大半は宗教や神話のシーンを描写する物語芸術であり、鑑賞者にその内容を教授するものだった。
19世紀になると資本主義や中産階級の発展にともなって、王侯貴族や宗教勢力にかわって中産階級の市民が新たな絵画の受容層に変わりはじめる。受容層の変化は評価となる作品にも大きな影響を与え、これまでの歴史画や肖像画、宗教画よりも、わかりやすく親しみやすい風景画や風俗画が受け入れられるようになった。つまり「個人主義」である。
また、芸術家のなかにも、アカデミック・システム内で成功をすることを目指さなくなった。クールベ、マネ、印象派などの画家たちは、フランスのアカデミック・システムから距離を置き、画商経由で特にアメリカの中産階級に受け入れられて成功した。19世紀後半に誕生したこのような「画商=批評家システム」こそは絵画受容の新しい枠組みであり、今日のアート・ワールドまで強固にまで機能し続けている。

3:ポスターや装飾など大衆芸術も対象範囲に
19世紀には、絵画、彫刻、建築といったこれまでのファインアートに対して、版画や装飾芸術、グラフィックデザインなどの大衆芸術が発展したのも大きな特徴だ。
1798年にドイツのゼーネフェルダーが発明したリトグラフは、大量印刷を可能にし、ロートレック、ミュシャといった人気グラフィックデザイナーを誕生させた。
中産階級の発展で壁紙や家具、書物の挿絵や装幀、ステンドグラスやタピスリー、モザイクや陶芸産業が盛んになると、芸術性の高い装飾芸術がヨーロッパに広がっていった。ラファエル前派やウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動などが代表的な例だろう。19世紀末に流行したアール・ヌーヴォーは19世紀固有の装飾芸術運動の頂点ともいうべきだろう。
21世紀の今日、街の壁に描いた壁画、ステッカー、ステンシル、広告の改ざん、ポストイットメモというメディウム使ったストリート・アートがゆっくりファインアートと同一市場で扱われはじめている点において共通しており、今後もこの傾向は続くだろう。


4:ニューメディアの格上げ
ただ、新しいメディウムを使うだけが近代美術の発展だ。新しいメディウム自体で絵画のような「芸術」になる流れも現れた。
代表的なのは「写真」だ。1839年にダゲレオタイプの発表以後、写真術は改良を重ねて現実の再現力を獲得し、写実絵画の地位を脅かすことになった。
こうしたなかで、画家たちは写真と異なる表現方法を見出す必要があり、現実をありのまま再現するのではなく、画家が主観で感じたものを再現する印象派やロマン主義などが発展した。
その一方、写真の方でもアルフレッド・スティーグリッツなどは、現実をありのまま再現することから離れて、絵画のような「芸術」になることを目指し始めた。
また、映像の出現(1859年)も絵画に大きな影響を与えた。映像の発明によって絵画における物語表現の重要度が低くなり、絵画にしかない特性を追求する動機付けを与えた。

5:外来文化の流入と異端主義
オリエンタリズム(東方趣味)、ジャポニスム(日本趣味)、プリミティヴィズムなど、異文化との接触を通した19世紀美術の変容も忘れてはいけない。19世紀は万国博覧会の時代だった。
この問題は、19世紀の西洋列強の植民地化の進展と密接な結び付きがある。西洋列強が領土的野心とともに世界中に進出することで、西洋と外部の距離が一気に縮まり、その結果、外来からさまざまな文化や美術が流行する。
こうして生まれたのが万国博覧会である。特に1855年から1900年までに5度開かれたパリ万国博覧会は芸術家に大きな影響を与えた。ちなみにジャポニスムが西洋美術に本格的に浸透しはじめるのは1867年のパリ万国博覧会に日本が初めて正式に参加してからである。
今日のアウトサイダー・アートは、20世紀初頭に流行した素朴派やプリミティヴィズムの系譜にあるといえる。現在、アウトサイダー・アートはアート・ワールドとは別の市場で運営されているが、今後、1つの市場として扱われ、また美術史の流れの1つとして記録されるるかもしれない。
さらに、アウトサイダー・アートに政治的メッセージや攻撃性を帯びるようになるとヴァンダリズムやアーティビズムをともなう今日のアーバン・アートに変貌する。このようなアートは現代においては、ある地域において法的に違法であり、すなわち異端主義としてとられる。異端主義芸術に対する寛容性もまた近代美術の特徴である。

近代美術の未来
ヴァンダリズムと近代美術の自己破壊
かつて、エマニエル・カントは「モダニズムは内部から批判する」と書いたが、寛容性とともにヴァンダリズムやアーティビズムが進むと訪れるのは、「近代美術による近代美術の自己破壊」である。
「近代美術による近代美術の自己破壊」は、今後の資本主義社会の進展にともうなう経済的格差、資本家と労働者における階級闘争の進展につれて顕著になるだろう。
かつて「共産党宣言」を書いたカール・マルクスは、資本家と労働者間における階級闘争を通じた人間社会の進展を説き、資本主義は社会主義のような新しいシステムへの再生へと移行する自己破壊的な内的な緊張を抱えていると主張した。
つまり、資本主義下においては、ブルジョアジーとプロレタリアートの対立が生じはじめ、最終的には労働者階級による政治権力の確立に帰着し、社会主義、共産主義による社会が建設されると予言した。
現在、市場と民主主義はマルクスがほぼ予想したとおりの道筋歩んでいる。
ヴァンダリズムの先例は中国の文化大革命である。文化大革命の名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という文化の改革運動だった。マルクス主義に基づいて宗教が徹底的に否定され、教会や寺院・宗教的な文化財が破壊された。しかし、社会主義は持続的な自由の補償、個人の自由、表現の自由、宗教の自由を担保することは不可能であることが判明した。


おもな近代美術の芸術運動
19世紀
・ロマン主義:フランシスコ・デ・ゴヤ、ウィリアム・ターナー、ウジェーヌ・ドラクロワ、ウィリアム・ブレイク
・写実主義:ギュスターヴ・クールベ、カミーユ・コロー、ジャン=フランソワ・ミレー
・印象派:フレデリック・バジール、ギュスターヴ・カイユボット、メアリー・カサット、エドガー・ドガ、アルマン・ギヨマン、エドゥアール・マネ、クロード・モネ、ベルト・モリゾ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレー
・後期印象派:ジョルジュ・スーラ、ポール・ゴーギャン、ポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホ、トゥールーズ・ロートレック、アンリ・ルソー
・ラファエル前派:ジョン・エヴァレット・ミレイ
・象徴主義:ギュスターヴ・モロー、オディロン・ルドン、エドヴァルド・ムンク、ジェームズ・ホイッスラー、ジェームズ・アンソール、アルノルト・ベックリン
・ナビ派:ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、フェリックス・ヴァロットン、モーリス・ドニ、ポール・セリュジエ
・アール・ヌーヴォー:オーブリー・ビアズリー、アルフォンス・ミュシャ、グスタフ・クリムト、アントニオ・ガウディ、オットー・ワーグナー、ウィーン工房、ヨーゼフ・ホフマン、アドルフ・ロース、コロマン・モーザー、ウィジェーヌ・グラッセ、アレクサンドル・スタンラン
・分割描法:ジャン・メッツァンジェ、ロベール・ドローネー、ポール・シニャック、アンリ・エドモンド・クロス
・初期近代彫刻家:アリスティド・マイヨール、オーギュスト・ロダン
20世紀初頭(第一次世界大戦まで)
・抽象芸術:フランシス・ピカビア、フランティセック・クプカ、ロベルト・ドローネー、レオポルド・シュルヴァージュ、ピエト・モンドリアン
・フォーヴィスム:アンドレ・ドラン、アンリ・マティス、モーリス・ド・ヴラマンク、ジョルジュ・ブラック
・表現主義:ブリュッケ、青騎士、エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー、ワシリー・カンディンスキー、フランツ・マルク、アウゲスト・マッケ、エゴン・シーレ、オスカー・ココシュカ、エミール・ノルデ、アクセル・トーンマン、カール・シュミット=ロットルフ、マックス・ペヒシュタイン
・未来主義:ジャコモ・バッラ、ウンベルト・ボッチョーニ、カルロ・カッラ、ジーノ・セヴェリーニ、ナターリヤ・ゴンチャローワ、ミハイル・ラリオーノフ
・キュビスム:パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、ジャン・メッツァンジェ、アルベール・グレーズ、フェルナン・レジェ、ロベルト・ドローネー、アンリ・ル・フォコニエ、マルセル・デュシャン、ジャック・ヴィヨン、フランシス・ピカビア、フアン・グリス
・彫刻:パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、コンスタンティン・ブランクーシ、ジョゼフ・クサキー、アレクサンダー・アーキペンコ、レイモンド・デュシャン・ヴィヨン、ジャック・リプシッツ、オシップ・ザッキン
・オルフィスム:ロベルト・ドローネー、ソニア・ドローネー、フランティセック・クプカ
・シュプレマティスム:カシミール・マレーヴィチ、アレクサンドル・ロトチェンコ、エル・リシツキー
・シンクロミズム:スタントン・マクドナルド=ライト、モーガン・ラッセル
・ヴォーティシズム:パーシー・ウインダム・ルイス
・ダダイスム:ジャン・アルプ、マルセル・デュシャン、マックス・エルンスト、フランシス・ピカビア、クルト・シュヴィッタース
第一次大戦後から第二次世界大戦まで
・形而上絵画:ジョルジョ・デ・キリコ、カルロ・カッラ、ジョルジョ・モランディ
・デ・ステイル:テオ・ファン・ドゥースブルフ、ピエト・モンドリアン
・表現主義:エゴン・シーレ、アメディオ・モディリアーニ、シャイム・スーティン
・新即物主義:マックス・ベックマン、オットー・ディクス、ジョージ・グロス
・アメリカ近代美術:スチュアート・デイヴィス、アーサー・ダヴ、マーズデン・ハートレイ、ジョージ・オキーフ
・構成主義:ナウム・ガボ、グスタフ・クルーツィス、モホリ=ナジ・ラースロー、エル・リシツキー、カシミール・マレーヴィチ、アレクサンドル・ロトチェンコ、ヴァディン・メラー、ウラジーミル・タトリン
・シュルレアリスム:ルネ・マグリット、サルバドール・ダリ、マックス・エルンスト、ジョルジョ・デ・キリコ、アンドレ・マッソン、ジョアン・ミロ
・バウハウス:ワシリー・カンディンスキー、パウル・クレー、ヨゼフ・アルバース
・彫刻:アレクサンダー・カルダー、アルベルト・ジャコメッティ、ヘンリ・ムーア、パブロ・ピカソ、ガストン・ラシェーズ、フリオ・ゴンサレス
・スコティッシュ・カラリスト:フランシス・カデル、サミュエル・ピプロー、レスリー・ハンター、ジョン・ダンカン・ファーガソン
・シュプレマティスム:カシミール・マレーヴィチ、アレクサンドラ・エクスター、オルガ・ローザノワ、ナジデダ・ユーダルツォーヴァ、イワン・クリウン、リュボーフィ・ポポーワ、ニコライ・スーチン、ニーナ・ゲンケ・メラー、イワン・プーニ、クセニア・ボーガスラヴスカイヤ
・プレシジョニズム:チャールズ・シーラー、ジョージ・オールト
第二次世界大戦以後
・新具象主義:フランシス・ベーコン、ルシアン・フロイド、ゲルヒリト・リヒター、ベルナール・ビュフェ、ジャン・カルズー、モーリス・ボイテル、ダニエル・デュ・ジャナランド、クロード・マックス・ロシュ
・彫刻:ヘンリ・ムーア、デビッド・スミス、トニー・スミス、アレクサンダー・カルダー、イサム・ノグチ、アルベルト・ジャコメッティ、アンソニー・カロ、ジャン・デビュッフェ、イサック・ウィトキン、ルネ・イシュー、マリノ・マリーニ、ルイーズ・ネヴェルソン、アルバート・ブラーナ
・抽象表現主義:ウィレム・デ・クーニング、ジャクソン・ポロック、ハンス・ホフマン、フランツ・クライン、ロバート・マザーウェル、クリフォード・スティル、リー・クラスナー、ジョアン・ミッチェル、マーク・ロスコ、バーネット・ニューマン
・新表現主義:アンセルム・キーファ
・アメリカ抽象芸術:イリヤ・ボロトフスキー、イブラム・ラッサウ、アド・ラインハルト、ヨゼフ・アルバース、バーゴインディラー
・アール・ブリュット:アドルフ・ヴェルフリ、オーガスト・ナッターラ、フェルディナン・シュヴァル、マッジ・ギル、ポール・サルヴァドール・ゴールデングリーン
・アルテ・ポーヴェラ
・カラーフィールド・ペインティング
・タシスム
・コブラ
・デ・コラージュ
・具象表現主義
・フルクサス:オノ・ヨーコ
・ハプニング:草間彌生
・ダウ・アル・セット
・グループ・エルパソ
・幾何学抽象
・ハードエッジ・ペインティング
・キネティック・アート
・ランド・アート
・オートマティスック
・ポスト・ミニマリズム
・リリカル抽象
・トランスアバンギャルド
・具象自由主義
・新写実主義
・オプ・アート
・フォトリアリズム
・ポップ・アート:アンディ・ウォーホル、草間彌生、ロイ・リキテンシュタイン、ジャスパー・ジョーンズ
・新ヨーロッパ絵画
・シャープ・キャンバス
・ソビエト絵画
・スペーシャ
・ビデオアート
21世紀
・ポップシュルレアリスム:ロバート・ウィリアムス、マーク・ライデン、オードリー・カワサキ、高松和樹
・ストリート・アート:バンクシー、ジャン=ミシェル・バスキア、キース・ヘリング、シェパード・フェアリー、ミスター・ブレインウォッシュ、JR、インベーダー、インキー、ロバート・デル・ナジャ、ブレック・レ・ラット、香港宣伝グループ